科目名 | アニメーション史概説 | |
担当者 | 渡邉 大輔 | |
開講期 | 2025年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 1年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業形態 | 対面(全回対面) | |
オンライン実施回 | — | |
全回対面 | ||
授業題目 | 作品とともにアニメーション史を学ぶーー表現・制度・メディアの変遷 | |
授業の到達目標 | 「アニメーションAnimation」は、19世紀の終わりに誕生して以来、21世紀の今日に至るまで、映像文化や映像産業の重要な一部を担ってきました。特に、現代では、主に映像メディア環境の進展に伴って、その存在感はますます大きなものになっています。アニメーションという現代を代表する文化表現を理解するためには、具体的な作品の鑑賞に基づくその130年近くに及ぶ歴史への深い理解が不可欠です。本講義では、戦後・現代日本固有のジャンルとみなされる「アニメAnime」の歴史に着目しつつも、それにとどまらないアニメーション史の諸相を、主に映像文化論・メディア論の視点から明らかにすることを目的としています。また、それを通じて、学生が他の各種講義において、アニメーション史に対する基本的理解を深め、各自の関心に応じて主体的かつ独自な分析ができるようになることを目指します。 | |
今年度の授業内容 | 本講義では、(1)エミール・レイノー以降のアニメーション、(2)ディズニー以降のアメリカンアニメーション、(3)手塚治虫以降のテレビアニメなどを指標としつつ、アニメーション/アニメの特性や歴史について、アニメーション研究、映画研究やメディア文化理論、サブカルチャー研究の視点から概説していきます。とくに、授業後半では「セカイ系」「日常系」「なろう系」などをキーワードにした現代日本のオタク世代論を軸に80年代以降の日本アニメ史/オタク史を振り返る予定です。 | |
準備学修(予習・復習等)の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 事前にポータルにアップロードする当該回の講義資料を熟読し、疑問に思うことをあらかじめまとめておく。講義終了後は、当日の講義内容も踏まえ、感想・疑問をリアクション・ペーパー(コメントシート)として提出する。また、講義で扱った映像作品で興味を持ったものは、なるべく全編を鑑賞して理解を深めること。 |
1回平均約190分 |
自習に関する一般的な指示事項 | 授業内で配布するレジュメなどを参考にし、授業で扱ったり紹介する関連文献や映画作品、映像動画を適宜確認・鑑賞すること。また、それ以外に、日常的にさまざまな映画や映像に「分析的」に(!)触れておくことが望ましいでしょう。 特に、いわゆる日本のテレビアニメやジブリ映画、ディズニー/ピクサーなど、一般的に馴染み深い作品以外の作品にも積極的に触れ、「アニメーション」の多様性を理解することが必要です。 |
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授業の特徴(アクティブラーニング) | リアクションペーパー/レポート | |
第1回 | イントロダクション:「アニメーション」と「アニメ」 授業概要・形式・成績評価・スケジュールなどの説明。 |
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第2回 | アニメーションの歴史(1):エミール・レイノーから初期ディズニーまで 「アニメーション」の定義をしたのち、海外アニメーションの歴史を解説します。エミール・レイノーによる「テアトル・オプティーク」からブラックトン、コール、マッケイの初期アニメーション。そして、ウォルト・ディズニーの偉業をたどります。 |
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第3回 | アニメーションの歴史(2):アメリカンカートゥーンの多様性 フライシャー兄弟、テックス・アヴェリー、UPAなど、ウォルト・ディズニーと同時代のディズニー以外のアニメーションを見ていきます。また、1966年のウォルト死去後のディズニーの動向(ディズニールネサンスからピクサーの買収、近年のDisney+まで)を確認します。 |
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第4回 | アニメーションの歴史(3):抽象アニメーションからインディペンデント・アニメーションへ アメリカ以外のアニメーション、とりわけポール・グリモー(フランス)、レフ・アタマーノフ(ソヴィエト)、カレル・ゼマン(チェコ)、ユーリー・ノルシュテイン(ソヴィエト)など、主にユーロ・アニメーションを中心に世界の多様なアニメーションの試みを見ていきます。 |
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第5回 | 日本アニメーションの歴史(1):「漫画映画」の時代 日本アニメーションの歴史。大正時代の国産初のアニメーション、戦時中のプロパガンダ『桃太郎 海の神兵』、戦後の東映動画の創立と『白蛇伝』の製作などを見ていきます。 |
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第6回 | 日本アニメーションの歴史(2):「アニメ」の誕生と発展 「フルアニメーション」(東映動画系)と「リミテッドアニメーション」(虫プロ系)という戦後日本アニメの2つの主要な流れについて説明した後、戦後の日本アニメについて見ていきます。手塚治虫による日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』の大ヒットによる「アニメ」の誕生からテレビアニメを軸にした新しい表現技法(出崎演出など)、1970年代の『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』による「アニメ」ブーム、1980年代の「スタジオジブリ」の設立まで。 |
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第7回 | 日本アニメーションの歴史(3):世界に飛躍する「ANIME」文化 1990年代以降の押井守、庵野秀明、現代の細田守、片渕須直、湯浅政明、新海誠、山田尚子などの重要「作家」を確認し、世界的コンテンツとなった日本アニメの現状を辿ります。近年の『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『ONE PIECE FILM RED』などのジャンプアニメの躍進にも触れる予定です。 |
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第8回 | 日本アニメーションの歴史(4):デジタル時代のアニメ文化 デジタル以降の日本アニメ作品の現状を、受容の変化からたどります。『キンプリ』『ムビナナ』などのアイドルアニメの「応援上映」などに注目します。 |
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第9回 | オタク世代論の現代アニメ史(1):アニメブームとオタク第一世代 オタク第一世代について『宇宙戦艦ヤマト』を中心に解説します。 |
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第10回 | オタク世代論の現代アニメ史(2):『ガンダム』とオタク第二世代 オタク第二世代について『機動戦士ガンダム』を中心に解説します。 |
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第11回 | オタク世代論の現代アニメ史(3):セカイ系とオタク第三世代 オタク第三世代について『新世紀エヴァンゲリオン』とセカイ系を中心に解説します。 |
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第12回 | オタク世代論の現代アニメ史(4):日常系・なろう系とオタク第四世代以降 第四世代以降のオタク文化について『涼宮ハルヒの憂鬱』『けいおん!』などと日常系を中心に解説します。 |
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第13回 | オタク世代論の現代アニメ史(2):アニメと「推し」の文化 21世紀の(主に)女性オタクの消費行動を軸に、アニメと「推し」の関係について考えます。 |
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第14回 | まとめ | |
授業の運営方法 | 講義中心の授業。事前にポータルから講義資料のPDFを配布。毎回、ポータルを通じたリアクション・ペーパーの提出を課します。 | |
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 毎回のリアクション・ペーパーの質問や感想に対して、有意のものはポータルか次回授業の冒頭で解説・回答・講評を行う。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 0% | 実施しない |
小論文・レポート | 50% | 学期末レポート |
授業参加 | 50% | 一定以上の出席を成績評価の前提条件としたうえ、コメントシートの内容を成績評価の参考に用いる。 |
その他 | 0% |
テキスト | 授業時にレジュメを配布・配信。 |
参考文献 | 津堅信之『アニメーション学入門』(平凡社新書、2005年、978-4582852912)929円 須川亜紀子・米村みゆき編著『アニメーション文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房、2019年、9784623084418)2640円 前島賢『セカイ系とは何か』(星海社文庫、2014年、4061389688)Kindle版693円 須川亜紀子『2.5次元文化論』(青弓社、4787234803)2200円 |
その他、履修生への注意事項 | アニメーション/アニメそのものについての興味はもちろんですが、講義内容の関係上、つねにさまざまな文化・社会事象に対する幅広い知的好奇心を抱いていることが必要です。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】 |