科目名 | ヴィジュアル・カルチャー概論 | |
担当者 | 渡邉 大輔 | |
開講期 | 2025年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 1年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業形態 | 対面(全回対面) | |
オンライン実施回 | — | |
全回対面 | ||
授業題目 | 「ヴィジュアル・カルチャー」(映像文化)へのみちびき | |
授業の到達目標 | 映像メディアの多様化に伴って、近年、個別の研究領域に限定されない、視覚メディアを包括的に扱う「視覚文化論」や「映像文化論」、総じて「ヴィジュアル・カルチャー研究」への注目が高まっています。主に近代の複製技術以降の映像メディアに焦点を絞り、それらヴィジュアル・カルチャーの多様性や歴史性を概観できるようになります。それを通じて、以後の各種講義において、ヴィジュアル・カルチャーに属する文化や作品の基本的理解を深め、各自の関心に応じて主体的な分析ができるようになることを目指します。 | |
今年度の授業内容 | 本講義では、複製技術以降の視覚メディアの特性や歴史について映画研究やメディア文化理論、カルチュラル・スタディーズの視点から概説していきます。とくに、「写真」「映画」(海外/日本)「テレビ」「動画サイト/映像アプリ」などのジャンル、分野の歴史、及び基礎的な映像メディア理論を取り上げていく予定です(「アニメーション/アニメ」は春学期の「アニメーション史概説」で扱います)。 | |
準備学修(予習・復習等)の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 事前にポータルに掲出する当該回の講義資料を熟読し、疑問に思うことをあらかじめ整理しておく。講義終了後は、当日の講義内容も踏まえ、感想・疑問をリアクション・ペーパーとして提出する。また、講義で扱った映像作品(写真、映画、アニメーションなど)で興味を持ったものは、なるべく全編を鑑賞して理解を深めること。 | 1回平均約190分 |
自習に関する一般的な指示事項 | 授業内で配布するレジュメなどを参考にし、授業で扱ったり紹介する関連文献や映画作品、映像動画を適宜確認・鑑賞すること。また、それ以外に、日常的にさまざまな映画や映像に触れておくことが望ましいでしょう。 | |
授業の特徴(アクティブラーニング) | リアクションペーパー | |
第1回 | イントロダクション——「ヴィジュアル・カルチャー」ってなに? 授業概要・形式・成績評価などの説明と「ヴィジュアル・カルチャー」(映像文化)研究の基本的な説明をします。 |
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第2回 | 複製技術時代の視覚文化論——バラージュとベンヤミン 映像文化論の古典的テキストであるベラ・バラージュの「視覚的人間」とヴァルター・ベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」を解説します。 |
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第3回 | 写真は何を伝えてきたか——芸術からコミュニケーションへ 写真の歴史をたどります。ニエプス、ダゲールの写真の発明からInstagramまで。 |
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第4回 | 外国映画の歴史(1):「初期映画」と映画前史 ハリウッドを中心とした映画の歴史。エジソン、リュミエール兄弟による「映画」の発明、メリエスの登場、エドウィン・S・ポーターとD・W・グリフィスによる初期アメリカ映画の成立までを見ていきます。 |
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第5回 | 外国映画の歴史(2):「古典的映画」の黄金期 エルンスト・ルビッチ、アルフレッド・ヒッチコック、ミュージカル映画、ミッキーマウスなどいくつかの作品を例に、「古典的(ハリウッド)映画」「ヘイズ・コード」「トーキー」の説明などを交え、20世紀半ばに映画が黄金時代を迎えていったプロセスを見ていきます。その後、オーソン・ウェルズやヒッチコックを例に、古典的映画の変容も見ます。 |
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第6回 | 外国映画の歴史(3):戦後世界の映画革命——「現代映画」の始まり 第2次大戦後から現代に至る現代映画の発展を見ていきます。1940年代の「イタリアン・ネオ・レアリズモ」、1950年代末の「ヌーヴェル・ヴァーグ」、1960年代の「アメリカン・ニュー・シネマ」などです。1970年代のニュー・ハリウッド(ルーカス、スピルバーグ)から21世紀のマーベル映画(MCU)までを簡単に解説します。 |
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第7回 | 日本映画の歴史(1):映画の渡来から戦前の巨匠たち 日本映画の歴史。明治時代の映画の渡来から日本人自身による撮影・製作の始まり。「日活」の創業、日本初の映画監督・映画スターの登場、「活動弁士」や「女形俳優」など、日本独自の歴史を見ていきます。 |
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第8回 | 日本映画の歴史(2):撮影所の時代——戦後映画の黄金期 溝口健二・小津安二郎・成瀬巳喜男・黒澤明の4大巨匠の作品を軸に、戦後の日本映画の発展を見ていきます。『ゴジラ』など娯楽映画の重要作も見ていきます。 |
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第9回 | 日本映画の歴史(3):斜陽の時代から新たな日本映画へ 斜陽の時代を迎えた1960年代から現代までの日本映画。1960年代の「日本ヌーヴェル・ヴァーグ」、1970年代の「角川映画」、1990年代の北野武、岩井俊二、2000年代以降の是枝裕和、濱口竜介、山戸結希や松本花奈など新世代女性監督の台頭なども見ます。 |
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第10回 | デジタル時代の映像文化(1):古典的映画から映像のデジタル的転回へ(前半) アンドレ・バザン、レフ・マニヴィッチの理論を参考に、マーベル映画などを例に「実写映画とアニメーションの融合」について見ていきます。 |
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第11回 | デジタル時代の映像文化(2):古典的映画から映像のデジタル的転回へ(後半) スロー・シネマ、パズル映画、ポストカメラなど21世紀映画のキーワードを紹介します。 |
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第12回 | デジタル時代の映像文化(3):映像と観客の「可塑性」 『KING OF PRISM by Pretty rhythm』の応援上映などを事例に、映画の受容の変化を見ていきます。 |
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第13回 | 「テレビドラマ」の時代——コミュニケーションの変遷史 日本のテレビドラマの歴史。高柳健次郎によるテレビの開発から『逃げるは恥だが役に立つ』『あなたの番です』まで。 |
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第14回 | まとめにかえて:「ポストYouTube」の映像環境:複合する映像環境 InstagramやバーチャルYouTuber(VTuber)、TikTokまで、現代の映像環境をごく簡単にたどります。 |
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授業の運営方法 | 講義中心の授業。事前にポータルから講義資料のPDFを配布。それを元に、教室で関連する映像を上映しながら解説をしていきます。毎回、リアクション・ペーパーの提出を課します。 | |
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 毎回のリアクション・ペーパーの質問や感想に対して、有意のものはポータルか次回授業の冒頭で解説・回答・講評を行う。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 50% | 期末テスト |
小論文・レポート | 0% | 実施しない |
授業参加 | 50% | 課題提出、積極的な授業態度 |
その他 | 0% |
テキスト | 授業時にレジュメ資料を配布・配信。 |
参考文献 | 村山匡一郎編『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ 新装増補版』(フィルムアート社、2013年、978-4845913077)2160円、長谷正人編『映像文化の社会学』(有斐閣、2016年、978-4641174245)2640円 渡邉大輔『新映画論 ポストシネマ』(ゲンロン、2022年、4907188447)3300円 この他、内容が多岐にわたるので授業内で適宜紹介します。 |
その他、履修生への注意事項 | 幅広い映像文化や映像作品への興味関心を抱いて、日常的に作品鑑賞に努めることが大切です。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】 |