科目名 | 創作ライティング演習C(短歌) | |
担当者 | 佐佐木 頼綱 | |
開講期 | 2025年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 1単位 | |
授業の方法 | 演習 | |
授業形態 | 対面(全回対面) | |
オンライン実施回 | — | |
全回対面 | ||
授業題目 | 日本を代表する詩歌文化「短歌」を学び、楽しむ創作クラスです。 この授業では、和歌から現代短歌まで幅広い作品を鑑賞し、その美しさや奥深さを学びながら、自分の思いや日常の出来事を短歌で表現する力を育てます。 初心者でも安心して学べる内容ですので、気軽に参加してください。 短歌は古来より、感情を伝えるコミュニケーションツールとして親しまれてきました。 その伝統を大切にしながら、講義では学生同士が作品を鑑賞し合う「歌会」、数名で作品を推敲するグループワーク、言葉を取材する「吟行会」など多彩な活動を通じて学びを深めます。自分の内面と向き合いながら創作する楽しさと、短歌を介して他者とつながる座の文芸の楽しさを体験して下さい。 一人ひとりの感性や視点が輝ける授業を目指しています。 |
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授業の到達目標 | 本授業は以下の力を身につけることを目標とします。 教養としての短歌
作品を作る
作品を鑑賞、批評する力をつける
短歌を通じたコミュニケーションを体験する
1400年の歴史を持つ短歌は日本の文化や感情に深く関わっています。 短歌の鑑賞と実作を楽しみながら、豊かな感性や創造力を養い、また現代人の感覚や気持ちの起源を辿ってみましょう。 |
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今年度の授業内容 | この授業では、短歌を楽しみながらその歴史や表現技法を学び、学生自身の感性を表現する力を養います。 授業は以下のような流れで進めます 前半:短歌の鑑賞 授業の前半では、テーマに基づいて古典から現代までの短歌を鑑賞します。 たとえば、「恋」「追悼」「旅」「食」などのテーマごとに、時代や作者によってどのように表現が変化してきたのかを読み解きます。 また、句切れや韻といった短歌の技法に触れ、その魅力を楽しみながら学びます。 後半:創作・歌会 授業の後半では、学生に短歌を創作してもらいます。6月以降はグループワークも取り入れます。互いに推敲をしてみましょう。 また、無記名で作品を読み合う歌会も行います。他の学生の作品を鑑賞し、良いと感じた点や気になる部分を具体的に言語化することで、短歌への理解を深めます。 他者の発言を通じて、自分の作品に新しい発見を加えたり、表現の幅を広げたりする機会を持つこともできます。 グループワークや歌会を通じて、短歌が持つコミュニケーションの力を体感することも大切なポイントです。 |
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準備学修(予習・復習等)の具体的な内容及びそれに必要な時間について | ほぼ毎回、課題の短歌を提出してもらいます。 締切は授業を行った日の深夜23時59分とします。推敲して提出して下さい。 また授業の前週にはレジュメを公開しますので、自分の意見や疑問点があればまとめておきましょう。 |
1回平均約45分 |
自習に関する一般的な指示事項 | 短歌は日常の中から詩情を見つけ出す芸術です。 気になった言葉や情景はメモし、それを作品に活かしてください。 また、新しいアイデアを取り入れるきっかけを作りましょう。 ニュースや映画、音楽、漫画など他ジャンルの表現に積極的に触れ、自身の感情を刺激する体験を増やしてください。 |
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授業の特徴(アクティブラーニング) | 討議(ディスカッション・ディベート)/グループワーク/体験学習・調査学習 | |
第1回 | 第1回 短歌入門 初めて短歌に触れる方を対象に、その魅力や表現の技法を楽しく学びます。 短歌は「心の詩」と呼ばれていて、気持ちや感情を表現します。時代や個人を超えて響き合う力を持つており、作品を読むことで平安時代の小野小町とも、明治時代の与謝野晶子とも心を通じ合わせることができます。 そんな短歌の魅力を学びながら、自ら短歌を作る楽しさを体験してみましょう。 授業の主な内容
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第2回 | 第2回 句切れ 短歌の魅力を語る上で欠かせない要素のひとつが「句切れ」です。 句切れは、作品におけるリズムや間を生み出すと同時に、感情や情景を強調し、読者にドラマチックな印象を与える事ができます。 句切れを学び、自分の短歌のリズム感や奥行きを深めていきましょう。 授業の主な内容
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第3回 | 第3回 食べ物の歌を詠む 食は単なる食事を超え、文化や心のあり方と深く結びついています。 和歌短歌の中でも、食にまつわる歌は数多く詠まれ、そこには自然への感謝、命をいただくことへの畏敬、そして人々のつながりが描かれています。短歌における「御食(おんじき)」の表現を紐解き、食文化の変遷や、日常に潜む豊かさを再発見しましょう。 授業の主な内容
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第4回 | 第4回 上の句と下の句の関係 短歌の魅力のひとつに、上の句と下の句の関係性があります。この関係性が生み出す「詩的飛躍」は、読者の想像力をかき立て、作品に奥行きと新鮮さを与えます。上の句と下の句がどのように結びつき、あるいは意図的に離れて、新たな意味や感動を生み出しているかを分析し、自身の表現の幅を広げましょう。 授業の主な内容
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第5回 | 第5回 相聞歌① 最古の歌集である『万葉集』には約4500首の歌が収録されていますが、その7割が相聞歌(男女の愛情や心の交流を詠んだ歌)を占めます。秘められた想いや時に成就しない愛の苦悩など、現代人の感覚とは異なる恋の作品を読み、個人的な感情が普遍性を持つ瞬間、言葉が人々を繋ぐ力となる瞬間に触れていきましょう。 授業の主な内容
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第6回 | 第6回 相聞歌② 現代短歌の中にはジェンダーや同性愛など性の多様性を描き、時代を反映した相聞歌が多く登場し、人間関係の複雑さや社会的背景を映し出す鏡となっています。相聞歌が描き出す多様な愛の形に触れ、その中から自らの価値観や感情を再考してみましょう。 授業の主な内容
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第7回 | 第7回 雨の歌 雨を詠んだ歌は、和歌短歌において重要なテーマの一つです。この講義では、小野小町の歌をはじめとする雨と心象風景が交錯する短歌を読み、表現がおいてどのように雨が扱われ、何を表現してきたのかを学びます。気候風土と文学、我々の心の相互作用について考えるきっかけを提供します。 授業の主な内容
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第8回 | 第8回 挽歌挽歌とは、棺を引く時の歌。亡くなった人を悼み、追憶する詩歌です。古代から多くの作品があり、その表現は喪失や悲嘆に留まらず、生と死、過去と現在を繋ぐ文化的行為に至ります。日本人がどのように「死」という普遍的なテーマに向き合ってきたか、その変遷を知り、死生観や感情表現の独自性を学びましょう。言葉の持つ救済の力や、悲しみを創造的な表現に変える術を理解できると思います。授業の主な内容 ・ 前回課題の相聞歌による歌会
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第9回 | 第9回 羇旅歌旅は、人間の存在を問い直し、新たな視点を得るきっかけとなる行為です。短歌においても、古代から現代に至るまで旅の歌はその詩情の中核を担ってきました。日常を離れることで生まれる新たな視点や、異国での感動、望郷の思い、古典和歌から現代短歌に至る旅の歌の流れをたどりつつ、その文化的意義や詩的表現の奥深さを学びましょう。 授業の主な内容
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第10回 | 第10回 吟行で詠まれた作品 自然や体験を観察しながら短歌を詠む「吟行」は、短歌において重要な創作方法の一つです。 近現代短歌の吟行作品を読みインスピレーションを受け、自らの短歌創作に役立てる方法を探求してください。 授業の主な内容 ・前回課題「挽歌」による歌会 ・吟行で詠まれた作品の鑑賞 ・短冊の書き方のレクチャー |
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第11回 | 第10回 吟行会 吟行会(ぎんこうかい)は、自然の中を歩きながらその情景や感動を短歌に詠む活動です。 その場の空気感、音や匂い、ものの細やかな部分など、観察を通じて作品作りをしてみましょう。 同じ場所を歩いた人から、自分とはまったく違う表現の作品が作られることを知るのも吟行会の楽しさの一つです。普段見落としているもの、表現できなかったものに気づくきっかけとなります。 授業の主な内容 ・校内を歩いての作品づくり ・歌会 |
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第12回 | 第10回 オノマトペ・頭韻脚韻 短歌の起源は「神様に捧げる歌」であったと言われています。それ故に音と言葉の調和を重視します。 オノマトペは音や感覚を言葉として表現することで、生動感や臨場感を描くことができます。 頭韻や脚韻といった音の繰り返しは、リズムや響きの美しさを表現することができます。 これらの技法を意識的に使い、表現力を高めましょう。 授業の主な内容
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第13回 | 第13回 贈答歌・折句 贈答歌は、他者に向けて心を伝えるための言葉の工夫が凝らされた短歌の重要な形式の一つです。相手との関係性や状況に応じた微妙なニュアンスが求められ、自己表現とは少し異なる、他者とつながるための重要な技術が込められています。 自身の内面を表現する短歌とは異なる、「誰かに贈るための歌」に焦点を当て、言葉の選び方や表現の工夫を学んでみましょう。 「折句(折り句)」は、短歌の中に特定の言葉を入れる遊び心ある表現技法です。短歌にユーモアや遊び心を加えたりすることができます。 授業の主な内容 ・贈答歌・折句を読む ・贈答歌の作成 ・グループワークによる推敲 |
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第14回 | 第14回 贈答歌を短冊や色紙に作品を記す前回の授業で創作した贈答歌を色紙や短冊に記します。短歌はコミュニケーションツールで、誰かに贈るものでした。ぜひ、どなたかに短冊をお渡し下さい。
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授業の運営方法 | 30時間の授業と15時間の自習をもって1単位とする。 | |
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 学生が発表した作品や発言に対して、教員が具体的な講評と添削案の提示を行います。 また、歌会で得た批評を参考に、自分の作品をさらに磨いていくことで、表現力を高めることができます。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
授業参加 | 20% | 出席率を通して参加度を評価する |
その他 | 40% | 課題の内容を評価する |
その他 | 40% | 授業中の発言・歌評を評価する |
定期試験 | 0% | 実施しない |
小論文・レポート | 0% | 実施しない |
評価内容(評価方法、評価基準4) | 実施しない |
小論文・レポート | |
0 | |
実施しない | |
テキスト | 独自に作成したレジメを使用。 |
参考文献 | 『知識ゼロからの短歌入門』 「心の花」編集部編・佐佐木 幸綱監修 幻冬舎 2020/8/5 • ISBN-10 : 4344903463 • ISBN-13 : 978-4344903463 『現代女性秀歌』 栗木京子著 NHK出版 2014/8/22 • ISBN-10 : 4140162287 • ISBN-13 : 978-4140162286 |
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