科目名 | 人文学特殊講義(国際教養)C | |
担当者 | 小川 忠 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 宗教の復興と現代世界 | |
授業の達成目標 | 国際問題を考える上で、宗教と社会の関わりを理解しておくことが不可欠となりつつあります。 本講義では、現在世界各地で発生している宗教の復興と呼ばれる現象をとりあげます。講義は二部構成とし、第一部では世界の主要な宗教が、どのように近代化と向き合ってきたか、そのなかで宗教は政治や経済とどのような関係を取り結んできたのかを、比較検討します。特に新型コロナウイルス危機の発生を各宗教はどのように意味づけしたか、宗教復興が各国社会の新型コロナウイルス危機対応にどのような影響を及ぼしたのか、に焦点をあてます。 第二部では、現代における宗教復興のケース・スタディ—としてインドネシアに焦点をあてます。同国は、世界最大のイスラーム教徒人口を擁する国です。経済発展めざましい同国において発生している「イスラーム」活性化現象を解説します。 講義を通じて、単に知識を得ることのみならず、世界が直面している課題に関するメディア報道、インターネット情報の真偽を判断できる能力(メディア・リテラシー)の向上を目指し、以下を目標とします。 ・世界の主要な宗教(キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教等)の特徴を説明できるようになる。 ・世界の主要な宗教(キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教等)が現代社会においてどのような機能を果たしているのか説明できるようになる。 ・「宗教紛争」と言われている事象の背景にある、政治・経済・社会と宗教の複雑な関係について、説明できるようになる。 ・宗教が新型コロナウイルス対応にどのような影響を及ぼしているか、説明できるようになる。 |
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今年度の授業内容 | 第一部では、講師が作成した資料を参照しつつ、各宗教の近現代史をなぞりながら、近代化で衰退すると予想されていた宗教がいかにして社会的影響力を増してきたのかを解説します。また教科書該当箇所を解説し、新型コロナウイルス危機と各宗教の宗教復興がいかなる関係性をもっているのか考察します。 第二部では、インドネシアの「イスラーム化」について、テロリズム、経済発展、ポップカルチャー、市民運動等「イスラーム化」が有する様々な側面を、テキストにそって解説します。 |
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準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 事前にポータルに掲出する各回の教科書及び講義資料箇所をよみ、重要と思われる点、新たな学びだと思う点をメモしておいてください。また授業終了後、教科書及び講義資料を読み直し理解を深めるようにしてください。 | 合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 講師作成資料をポータルサイトに掲載するので、各自学習してください。教科書の該当箇所を読むとともに、日ごろから新聞の国際面記事に関心をもつよう心がけてください。 | |
第1回 | ガイダンス | |
第2回 | 講義 宗教復興とは何か、宗教比較の尺度:コロナ禍がもたらす宗教復興 | |
第3回 | プロテスタンティズムと米国社会:反ワクチン運動の宗教的背景 | |
第4回 | イスラームの近代化とイスラーム主義:ジハード主義者の天罰論 | |
第5回 | インドのヒンドゥー・ナショナリズム台頭:パンデミックに乗じて拡散される反イスラム感情 | |
第6回 | 仏教ナショナリズムとスリランカ民族紛争 | |
第7回 | 国教化するロシア正教:信仰と政治が一体化するロシア | |
第8回 | 戦前の日本 国家神道と仏教ナショナリズム:現代日本 コロナ禍の日本で宗教復興は起きるのか | |
第9回 | インドネシアの「イスラーム化」 | |
第10回 | インドネシア なぜ今「イスラーム化」なのか | |
第11回 | インドネシア テロリズム克服の模索 | |
第12回 | インドネシア なぜ彼らはテロに奔るのか | |
第13回 | インドネシア 「寛容」なイスラーム | |
第14回 | インドネシア イスラームを社会資本に:宗教復興の多面性 | |
授業の運営方法 | 教科書と講師作成資料を解説しながら、討議を交えて授業を進めます。可能な限りの宗教と社会をめぐる映像資料を紹介して、理解の一助とします。各回の授業終了後に課題として、ポータルを通じて、その授業で学んだこと等のリアクション・ペーパー提出を求めます。各学生のリアクションペーパーを匿名形式でまとめ、次回授業時に授業資料として掲示し、他の学生の学習から学べるようにします。 本講義は基本的に対面方式で行いますが、大学方針により遠隔授業となる場合は、オンデマンドによる映像配信とします。具体的な内容は、「その他、履修生への注意事項」を参照してください。 |
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課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 各回の授業終了後に課題として、ポータルを通じて、その授業で学んだこと等のリアクション・ペーパー提出を求めます。提出された学生リアクションに対して、各学生にポータルを通じて講師のコメントをフィードバックします。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
小論文・レポート | 30% | 小論文を最終講義までに提出 |
授業参加 | 70% | 毎回の討議への参加、課題へのリアクション・ペーパーの記述ぶり |
テキスト | 小川忠『逆襲する宗教:パンデミックと原理主義』講談社選書メチェ、2023年、1750円、ISBN978-4-06-530973-5 |
参考文献 | 小川忠『原理主義とは何か アメリカ、中東から日本まで』講談社現代新書、2003年、ISBN4-06-149669-7 小川忠『テロと救済の原理主義』新潮選書、2007年、ISBN978-4-10-603586-9 小川忠『インドネシア イスラーム大国の変貌』新潮選書、2016年、ISBN978-4-10-603792-4 小川忠『自分探しするアジアの国々 揺らぐ国民意識をネット動画から見る』明石書店、2021年、ISBN978-4-7503-5174-2 |
その他、履修生への注意事項 | 本講義は基本的に対面方式ですが大学方針により遠隔授業となる場合、遠隔授業はオンデマンド型とします。毎週、授業開始時刻までに、「ポータルサイト:授業資料」に教師が作成したパワーポイント授業資料の映像を配信しますので、各自これを見て学習してください。この授業資料のなかに質問や指示を記載しておきますので、それに従ってください。 授業資料の最後に、学生への課題を示すとともに、同じ内容を「ポータルサイト:課題管理」に掲示します。ポータルサイトを通じて、毎回課題を提出するようにしてください。 遠隔授業を受講した学生は、上記課題提出をもって出席とします。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 |
実務経験の概要 | 1982年から2017年まで国際交流基金職員として、文化外交、国際文化交流事業を企画立案しました。その間、インド、インドネシアに駐在するとともに、米国にも頻繁に出張しました。 |
実務経験と授業科目との関連性 | 国際交流基金において文化外交、国際文化交流を実践した経験に基づき、授業内容、授業スケジュールを策定しています。 |