科目名 | 人文学特殊講義(現代思想・社会)C | |
担当者 | 三崎 和志 | |
開講期 | 2024年度秋学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 『啓蒙の弁証法』のコンテキスト | |
授業の達成目標 | 『啓蒙の弁証法』理解の前提となる、近代啓蒙思想の特質を説明できるようになる。 『啓蒙の弁証法』の読解をつうじて現代社会の諸問題に対する理論的に考察できるようになる。 |
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今年度の授業内容 | 「フランクフルト学派」と呼ばれるドイツ現代思想の一潮流に属するホルクハイマーとアドルノによる『啓蒙の弁証法』の読解をつうじて現代社会の問題について考えます。 ナチスによりドイツの大学を追われた2人のユダヤ人哲学者が亡命先のアメリカで著した本書は、ナチスを文明に対する反乱としてではなく、西欧的な理性と文明の根底にある傾向のあらわれと捉えました。戦後ドイツの哲学界においてこの本の提起した問題は、批判的に乗り越えられたとも言われてきましたが、昨今の世界と日本の状況において、この本の指摘はあらためてアクチュアルなものとなっています(それは決して幸福なことではありません)。 全体をつうじて、現代社会の具体的な問題との関連を念頭に置きながら講義をすすめていきます。 |
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準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 事前にテキストの指定箇所とポータルに提出する参考資料を読み、内容を概括的に理解し、疑問点を整理しておくこと。授業後は、各自が学習内容を整理し、自身の理解度について確認すること。 合計60時間 |
合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 授業の該当箇所にこだわらず、『啓蒙の弁証法』を手に取って気になる部分を読み、その意味について自分なりに考えてみてください。 | |
第1回 | 『啓蒙の弁証法』について 序文を読む 著者らの属する「フランクフルト学派」の特徴と時代背景(二つの大戦、ファシズム) 近代思想と現代思想:その違いは? |
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第2回 | 『啓蒙の弁証法』への導入 「手記と草案」中の大衆社会のアフォリズムを読んで、アドルノ/ホルクハイマーの思考の基本的なスタンスを知る |
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第3回 | これ以降、授業で対象にする章とその理解のために取り上げる他の近現代思想を列挙する 第1論文「啓蒙の概念」① フランシス・ベーコンの哲学『ノヴム・オルガヌム』(自然支配) |
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第4回 | 第1論文「啓蒙の概念」② デカルトの哲学(物心二元論) マックス・ウェーバー『職業としての学問』(世界の脱魔術化) |
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第5回 | 第1論文「啓蒙の概念」③ 自己保存とその反転の論理 ヘーゲル『大論理学』(抽象的否定と限定否定) 『オデュッセウス』のセイレーンの物語について |
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第6回 | 補論I『オデュッセウスあるいは神話と啓蒙』① 『オデュッセウス』のロートパゴイとキュクロープスの物語に関するアドルノの解釈 |
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第7回 | 補論I『オデュッセウスあるいは神話と啓蒙』② ニーチェ『悲劇の誕生』(アポロン的/デュオニソス的/ソクラテス的) |
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第8回 | 補論I『オデュッセウスあるいは神話と啓蒙』③ 『オデュッセウス』のキルケーの物語とアドルノの解釈 |
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第9回 | 補論I『オデュッセウスあるいは神話と啓蒙』④ バッハオーフェン『母権論』 |
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第10回 | 補論II『ジュリエットあるいは啓蒙と道徳』① カントの批判哲学の概要 |
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第11回 | 補論II『ジュリエットあるいは啓蒙と道徳』② マルキ・ド・サドの思想(「サディズム」の論理) |
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第12回 | 「文化産業—大衆欺瞞としての啓蒙」① ヘーゲル『美学講義』(芸術に関する古典的な把握:融和) |
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第13回 | 「文化産業—大衆欺瞞としての啓蒙」② フロイト「去勢不安」 |
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第14回 | 「反ユダヤ主義の諸要素」① ヨーロッパの反ユダヤ主義の歴史とホロコーストについて |
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授業の運営方法 | テキストの該当箇所を説明し、その理解に必要な他の情報について言及する、というかたちで進める。 | |
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 授業終了後、全体的な講評等をポータルにて配信する。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
小論文・レポート | 100% | 独自の考察の誠実さと深さ |
テキスト | ホルクハイマー、アドルノ著『啓蒙の弁証法』岩波文庫 テキストは各自用意のこと。その他の資料は適宜配布する。 |
参考文献 | 授業スケジュールを参照 |
その他、履修生への注意事項 | 『啓蒙の弁証法』という1冊の本を扱いますが、哲学、神話、歴史、マスカルチャーなど多方面に議論は拡がっていきます。その中で自分に興味のある論点を見つけてもらえれば、と思います。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 |