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科目名人文学特殊講義(総合文化)C
担当者喜山 朝彦
開講期2024年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目セクシュアリティ(性行動)の社会的、文化的文脈
授業の達成目標一般的にさまざまな学問分野で、今まで《セクシュアリティ》(性行動)の問題が等閑視されてきた傾向にあることは事実であろう。この授業では、文化人類学的な視点から積極的に現代世界の《セクシュアリティ》の問題にアプローチを試みる。
 どこの社会でも、個人の欲望はその社会の文化によって形づくられ、欲望を満たすための行動とそのやり方は、文化が許容している範囲のなかで実現されている。したがって、《セクシュアリティ》や性についての考え方や意識も、社会や文化との関連性のなかで分析しないかぎり、それらの意味と機能を適切に把握、理解することはできない。現代世界の多様な《セクシュアリティ》の在りかたについて、社会、政治、経済、文化との関連性にも着目しながら、私たちの生活、日々の営みを批判的に見直し、知見を深め、自分の意見・考えをきちんと持てるようにする。
今年度の授業内容この授業では、《セクシュアリティ》について、理念的、観念的な議論や善悪の価値観に基づいて論じるのではなく、文化人類学、社会学やルポライターなどのいわゆる「民族誌的フィールドワーク」で得られた直接的な一次資料・データとそれらを基に書かれた論文、著作、記事などをベースにして、a. 結婚の外側の「性」、b.隔離と親和の「性」、c.反転する「性」の大きく3つの局面に分けて採り上げ、文化人類学的に現代社会の《セクシュアリティ》について考察を深めます。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について受講生は、事前にポータルの<授業資料管理>で原則水曜日に配信する講義資料類を読み、内容を理解し、疑問に思うことなどをあらかじめ把握しておくこと。授業終了後は、講義資料や各自のメモ、ノート類を見直して自分のなりに纏め直し、理解を深めておくこと。
(なお、講義資料、雑誌、新聞記事等の文書データ配信は期間限定です。配信されたら速やかにデータを保存し、プリントアウトして下さい!!)
合計60時間
自習に関する一般的な指示事項1.ポータルで配信した講義資料類をきちんと事前に読み、授業に臨んで下さい。
2.積極的に紹介した関連文献などを読み、議論を深める努力をして下さい。
3.現代社会の《セクシュアリティ》の問題に日常的に関心を持ち、高くアンテナを張り、本、雑誌、新聞、ウェブ情報、さまざまなニュースなどから情報を集め、自ら調べ、考える姿勢を持って下さい。
第1回イントロダクション・・・文化人類学の基本的視点と研究技法の特徴と《セクシュアリティ》の概念
第2回《セクシュアリティ》を社会・文化の文脈で考える―民族誌的フィールドワークと多様な「性」のかたちの素描
第3回《セクシュアリティ》を社会・文化の文脈で考える―「性」の文化的文法と許容される「性」
第4回結婚の外側の「性」―身体と関係の狭間
第5回結婚の外側の「性」―言葉と経験
第6回結婚の外側の「性」―寡婦と男たち
第7回隔離と親和の「性」―多産願望とその戦略からみた《セクシュアリティ》
第8回隔離と親和の「性」―身体変工と香り
第9回隔離と親和の「性」―性的隔離と嫉妬
第10回反転する「性」―同性愛的行為と同性愛的自己定義
第11回反転する「性」―トランスジェンダんーと「性」、ゲイ・コミュニティの世界
第12回現代日本の多様な《セクシュアリティ》
第13回《セクシュアリティ》と文化表象
第14回《セクシュアリティ》の釈義的側面の重要性―何をどのように語るのか
授業の運営方法1.この講義は、14回すべて対面授業で実施します。
2.対面授業は、講義形式と双方向的授業形式を織り交ぜて実施します。履修学生の積極的な授業参加に期待します。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法期末課題レポート回収、採点後、提出されたレポートの中から、特徴的な見解の紹介や典型的な誤解などについて解説を行います(ポータル<掲示板>などを通して受講生に配信する予定です)。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% 実施しない
小論文・レポート 70% 期末課題レポートの内容(レポート書式、テーマ設定の着想・アイデアなども含む)
授業参加 30% 小レポート課題の内容、積極的な授業への関わり・協力、出席代替課題回答の内容等
その他 0% 実施しない
テキスト 基本的にテキストは使用しない方針です。ポータルの<授業資料管理>で配信した講義資料・プリント類をもとに授業を進めます。
学期中、原則毎週水曜日に文書データを配信の予定です。期間限定の配信ですので、受講生は速やかに文書データを保存・印刷して下さい。一度配信した文書データを再度配信することはしませんので注意して下さい。
参考文献 井上章一、三橋順子、渋谷知美、松園万亀雄、須藤健一、小倉千加子、上野千鶴子、奥野克巳、椎野若葉、赤松啓介、永沢光雄、家田荘子などの著作、論文
その他、履修生への注意事項 1.原則出席はとります。遅刻・欠席には注意して自分で出席状況を管理する。
 ①授業回数14回のうち2/3以上出席することが成績評価(=期末課題レポート提出の資格)の前提となります。
 ②14回の授業で、受講者数にもよりますが、毎回指定された時間内にポータル<課題管理>に出席代替課題の回答を提出することで出席をカウントします。 

 ③a,指定された時間内に出席代替課題回答を提出できない、b.回答が間違っている場合は、全て欠席となります。
2.授業に積極的に取り組み、とり上げるテーマ・問題に対してきちんと向きあい、自分の意見・考えを積極的に発信できる
3.文化人類学的、社会学的な視点・研究技法に関心があること。
4.①テキストは使用しません。ポータル<授業資料管理>で講義資料類を配信します。指定された期間内に文書データを保存し、各自で必ずプリントアウトしておくこと。同じ授業資料を何回も配信することはしませんので注意すること。
5.◆成績評価全体の70%を占める期末課題レポートは、①指定したレポート書式を守る、②各自のレポート・テーマ設定の着想、アイデア、③レポートの内容などが重要です。
6.※就活の重要性は十分認識していますが、就活による授業欠席が特定の曜日、時間帯に集中しないように上手く分散化させる努力も受講生には必要です。
7.●この授業では、セクシュアリティについて観念的に論じたり、善悪の判断に基づいて議論したりはしません。あくまでも現地・現場で直接的に得られた一次データ・資料をもとに議論を展開し、考察を深めます。その点を十分理解して受講して下さい。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【文学部 人文学科】