科目名 | 文化財学 | |
担当者 | 水本 和美 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 「文化財」という言葉を聞いたことがありますか?それはいったいどのようなものでしょうか? 文化財保存修復学会という学会のホームページ中には、文化財に携わる者の行動規範が示されており、そこに以下の一文があります。 「文化財は人や自然が作り出した、芸術的、歴史的または学術的に価値の高い有形、無形の遺産である。われわれは人類が共有するかけがえのないこの遺産を、自分たちの世代において活用するだけでなく、将来の世代のために保存しなければならない。」(https://jsccp.or.jp/abstract/regulate_08.html、20230308閲覧) 「文化財学」と題する本講義では、人がその歴史において創造してきた文化財について、(1)その多様な種類とその価値、(2)文化財に敬意を払い、これを守り伝えていく意義、(3)文化財を守り伝えていくための手段、そして、現代的な課題として、(4)地域や国境を越えて文化財を伝える手段のひとつとしての文化観光、など、多角的な視点から概説していきます。 なお、(3)については、①法令によって、②伝統的な方法によって、③科学的な手法によって、④価値を伝えていくことによって、などさまざまな手段がありますので、それぞれについて見ていきます。 |
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授業の達成目標 | 学生は、各回の講義を聴くことで、文化財の種類や価値についての知識を得ることができる。そして、講義の前後で、講義中に紹介された文化財や博物館、書籍等文献を自身で学習することでその知識や考えを深めることができる。 学生は、上記の知識を得て、考えを深めることで、文化財に対する敬意を持つ心もまた養う。そして、文化財を守り伝えていくことのできる基礎的な姿勢を身に着けることができる。 学生は、各講義後のリアクションペーパーを提出することで、これらが自身の身についているかを確認する。また、教員もその到達レベルを知ることができる。 さらに、学生は、期末レポートを作成することによって、自身の到達点を教員に対しても知らせて客観的な評価を得られ、自身でも確認できる。 |
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今年度の授業内容 | ・文化庁の「文化財の体系図」にそって、文化財の概略を説明します。 ・文化財の各分野について概説します。実物資料については、できるだけご自身でも実見する機会を得る努力をしてください。 ・適宜、文化財を護るための法令などを紹介していきます。 ・意見交換を求める場合があります。間違っているかどうか、どう思われるかなど、あまりお気になさらずにリラックスしてご発言ください。 |
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準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 予習:必要時間(1~2時間)※自習に関する一般的な指示事項を参照してください。 復習:必要時間(1~2時間)※自習に関する一般的な指示事項を参照してください。 |
合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | ①予習:各講義の内容について、事前にどんな講義になるのかを、予測してみる。この時、内容についてまったく思い浮かばない場合、その分野における自身の情報・知識のストックがない、ということである。その場合は、その分野の概説書について、まずはご自身で検索・読書してみる。1~2時間を目安とする。(※何か浮かんで、それが講義で出てきた場合はある程度の予備知識があることになる。)②復習1:講義で紹介した文献、博物館、Webサイトなどについては講義後に確認すること。目安は1~2時間程度。③復習2:個人で博物館に行った際に、講義で出てきた内容についてしっかりと見てくる。また、日頃より、友人・知人とも積極的に意見交換し、講義時に意見を求めた場合にはその内容を話せるようにしておくこと。「情報の収集➡咀嚼➡発信・表現」をひとつのまとまりとして取り組んでいただきたい。 文化財の場合、好きになることは学習意欲を高める。文献から入るより、実物から入った方が良い方は、積極的に実物にあたってみてください。 |
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第1回 | 文化財とは何かー文化財の世界ー(本講義のガイダンス) | |
第2回 | 我が国の文化財保護とその歴史 | |
第3回 | 文化財の種類の概要と指定区分 | |
第4回 | 有形文化財(1)美術工芸品 | |
第5回 | 有形文化財(2)建造物、(3)歴史資料(古文書など) | |
第6回 | 有形文化財(1)演劇、音楽 | |
第7回 | 有形文化財(2)工芸技術 | |
第8回 | 民俗文化財(1)有形民俗文化財 | |
第9回 | 民俗文化財(2)無形民俗文化財 | |
第10回 | 記念物(1)史跡、(2)名勝、(3)天然記念物(動物、植物、鉱物) | |
第11回 | 文化的景観と伝統的建造物群 | |
第12回 | 人類の遺産と文化観光 | |
第13回 | 考古学と埋蔵文化財 | |
第14回 | 文化財の科学調査とデジタル化 | |
授業の運営方法 | ・本授業は、対面授業です。必要な場合については、課題取り組み型を指示します。 ・講義はPowerPointにより進めますが、すべての画面の文言をノートに取る必要はありません。PowerPoint画面は講義内容の理解の促進のためにあり、機械的にノートに書き写すことのみに注力するのは考える作業を妨げることになることがあります。文化財について考えを深めることを、講義参加の第一の目的にしてください。 ・ノートを取る際には、文献名、法令名、Webサイトの名称、人名、資料名など、キーワードが何かを考えながら、後からご自身で確認・調べることのできるメモを作成するよう心がけてください。 ・講義で紹介した内容は、実在する文化財や研究に基づいており、ご自身で実見することのできるものも多くあります。これらについては、機会を得て実見することをご検討ください。 ・講義後は毎回、大学ポータルサイトからのリアクションペーパーをご提出ください。提出より各回の講義の出席とします。 ・各講義の順序については、入れ替わる場合があります。 |
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課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | ・講義内容に関するご質問は、授業時(当該講義の時間中・前後の時間)に受け付けます。 ・毎回のリアクションペーパーは、大学ポータルサイトから行います。 ・課題(試験やレポート)の掲示は、大学ポータルサイトから行います。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
その他 | 50% | 学期末には課題レポートを課す。講義(文化財)への理解度を評価する。 |
小論文・レポート | 10% | 講義の進捗により、小課題がある場合、これを提出すること。※多くても2課題程度です。 |
授業参加 | 40% | 各回のリアクションペーパーの提出により講義出席とする。大学ポータルサイトより提出のこと。 |
テキスト | ・本講義では、指定のテキストは用いません。 ・法令等は、名称等(インターネット公開の場合はその旨)を示していきます。条文等を確認する場合は、ご自身で、Webサイトあるいは、これを出力して用いてください(指定の予習・復習に該当します)。 ・なお、2022年度までの講義で用いていた下記のテキストは、インターネット公開の法令を活字化しています。逐次のネット接続や出力について不便を感じる方は下記の参考文献の購入を勧めます。※ただし、最新の情報は更新されている可能性があります。最新情報については直接Webサイトをご確認ください。 |
参考文献 | 古庄浩明 2021 『改訂版 文化財学の基礎ー文化財とは何か−』三恵社 価格3300円(定価3000+税) |
その他、履修生への注意事項 | ・PowerPoint画面を見ながらの講義です。必要に応じてノートを作成してください。 ・復習のため、文字画面についてはスマホ等での撮影を行っても良いです。写真の撮影は、基本的に不可とします。 ・講義後は毎回、大学ポータルサイトからのリアクションペーパーをご提出ください。提出より各回の講義の出席とします。 ・期末レポート課題は、講義時と大学ポータルサイト上で行います。 ・休講等の連絡など、大学ポータルサイトで行いますので、ポータルサイトについては常に確認するようにしてください。 ・欠席の場合の理由(体調不良、教育実習、博物館実習、就職活動、部活動[大会・試合のみ])については一定の配慮をしますので、なるべく事前、できなければ事後に、書面により届け出てください。 ・新型コロナウイルス関係の取り扱いは、大学の方針に準じます。大学の方針を確認してください。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 |
実務経験の概要 | 文化財・埋蔵文化財に関するキャリア:①豊島区遺跡調査会(発掘調査)、②新宿歴史博物館(埋蔵文化財課)、③千代田区教育委員会(文化財事務室) 博物館に関するキャリア:①新宿区区立新宿歴史博物館、②千代田区立四番町歴史民俗資料館、③千代田区立日比谷図書文化館(立ち上げ) 文化財調査に関するキャリア:東京藝術大学大学院、科研費研究における文化財調査・研究 社会貢献:江戸遺跡研究会等の研究会・学会運営、東京都環境影響評価審議会(史跡・文化財担当) |
実務経験と授業科目との関連性 | 東京都区部における文化財担当職としての仕事を通じた実務経験と、博物館における展示を含めた教育普及に関わる経歴から、担当講義について実務に即した内容も盛り込める。また、自身も科研費研究などでの調査研究を行っており、この分野では最新の知見を講義に取り込むことができる。 |