科目名 | 現代アジア社会 | |
担当者 | 小川 忠 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | ネット動画から読み解くアジア各国の「自分探し」 | |
授業の達成目標 | 経済のけん引車的として、世界で存在感を高めつつある現代アジアは、日本にとって最も重要な地域の一つです。近年アジアに進出する企業が増え、海外駐在員やその家族としてアジアで暮らす日本人の数は拡大傾向にあります。さらに日本国内にあってもアジアからの留学生、働く人々と接する機会も増えてきました。 しかしアジアとの相互理解の必要性が強調されるにもかかわらず、いまだ日本の現代アジア理解は、先入観・固定観念や断片的知識に左右されているのが現実です。本授業は、K-pop等現代アジアのポップカルチャーを題材に、各国の国民国家形成の歴史と最新状況を学ぶことを通じて、以下を目標とします。 ・アジア各国の社会・歴史・言語・宗教・文化等の特徴を説明できるようになる。 ・アジア各国の国民意識がいかに形成されてきたか説明できるようになる。 ・アジアが多様で、活力に満ちた魅力的な地域であることを実感できるようになる。 |
|
今年度の授業内容 | 各回、テキストで取り上げている一つの国に焦点をあてて、国土・人口・民族・経済などの基本データをふまえた上で、その国民意識はいかなる土台の上に築かれ、形成されてきたのか、現在どのような変化が起きているのか説明します。 そこでは、国民意識の源泉となる文化的要素を、「インドネシアのイスラム・ファッションショー」「KーPOPの多国籍性」「モンゴルの社会批判ヒップホップ」「タイの感動CM」「フィリピンの大河ミュージカル」などのインターネットで視聴できる動画を題材にとりあげて検討します。 |
|
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 事前にポータルに掲出する各回の講義資料箇所を読み、重要と思われる点、新たな学びだと思う点をメモしておいてください。また授業終了後、ポータルに掲出する各回の講義資料を読み直し理解を深めるようにしてください。 |
合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 指定するテキストを通読するとともに、日ごろから新聞の国際面記事に関心をもつよう心がけてください。 | |
第1回 | ガイダンス | |
第2回 | インドネシア 「想像の共同体」を育む言語・文化と「イスラム化」現象 | |
第3回 | 「シンガポール人とは誰?」 ポップスの問いかけ | |
第4回 | マレーシア 漫画が語る多民族国家の苦悩 | |
第5回 | フィリピン 大河ミュージカルに描かれたフィリピン国民意識の形成 | |
第6回 | 日本留学運動を提唱したベトナム 独立志士と日本人医師の交流 | |
第7回 | タイ 映画に学ぶタイの経済発展とタイ人の心の旅路 | |
第8回 | インド 知られざるソフトパワー大国 | |
第9回 | バングラデシュ 言語から宗教へと変わる国民意識の源 | |
第10回 | ブータン 国民総幸福量という小国の生き残り戦略 スリランカ 仏教近代化とナショナリズム |
|
第11回 | 韓国 韓流、K-Popと国家ブランド政策 | |
第12回 | 中国・台湾 多民族国家の中での中華アイデンテティティーの多重性 | |
第13回 | モンゴル・ヒップホップにみる遊牧民族の意識変化 | |
第14回 | 韓国、中国のポップカルチャーと外交 | |
授業の運営方法 | 講師作成資料を解説しながら、討議を交えて授業を進めます。可能な限り映画や国際文化交流現場の映像資料を紹介して、理解の一助とします。 各回の授業終了後に課題として、ポータルを通じて、その授業で学んだこと等のリアクション・ペーパー提出を求めます。各学生のリアクションペーパーを匿名形式でまとめ、次回授業時に授業資料として掲示し、他の学生の学習から学べるようにします。 |
|
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 各回の授業終了後に課題として、ポータルを通じて、その授業で学んだこと等のリアクション・ペーパー提出を求めます。提出された学生リアクションに対して、各学生にポータルを通じて講師のコメントをフィードバックします。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 0% | なし |
小論文・レポート | 30% | 小論文を最終講義までに提出 |
授業参加 | 70% | 毎回の討議への参加、課題へのリアクション・ペーパーの記述ぶり |
その他 | 0% | なし。 |
テキスト | 小川忠『自分探しするアジアの国々―揺らぐ国民意識をネット動画から見る』明石書店、2021年、2200円、ISBN978-4-7503-5174-2 |
参考文献 | 園田茂人『アジアの国民感情 データが明かす人々の対外認識』中公新書、2020年、880円、ISBN 978-4-12-102607-1 石井健一他『日中韓の相互イメージとポピュラー文化:国家ブランディング政策の展開』明石書店、2019年、3800円、ISBN 978-4-7503-4613-1 その他授業のなかで示します。 |
その他、履修生への注意事項 | 本講義は基本的に対面方式です。毎週、授業開始時刻までに、「ポータルサイト:授業資料」に教師が作成したパワーポイント授業資料の映像を配信しますので、各自これを見て学習してください。この授業資料のなかに質問や指示を記載しておきますので、それに従ってください。 授業資料の最後に、学生への課題を示すとともに、同じ内容を「ポータルサイト:課題管理」に掲示します。ポータルサイトを通じて、毎回課題を提出するようにしてください。遠隔授業を受講した学生は、上記課題提出をもって出席とします。 日ごろから、インターネット、新聞・テレビで報じられているアジアについて、情報をうのみにすることなく、自分なりに考えてみるよう心がけて下さい。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 |
実務経験の概要 | 1982年から2017年まで国際交流基金職員として、文化外交、国際文化交流事業を企画立案しました。その間、インド、インドネシアに駐在するとともに、米国にも頻繁に出張しました。 |
実務経験と授業科目との関連性 | 国際交流基金においてアジア諸国との文化外交、国際文化交流を実践した経験に基づき、授業内容、授業スケジュールを策定しています。 |