科目名 | 国際関係学 | |
担当者 | 笹島 雅彦 | |
開講期 | 2024年度秋学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 1年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 岐路に立つ世界 |
|
授業の達成目標 | 世界政治は激変しつつある。複雑で混乱に満ちたこの世界をどのように考察したらいいのか、考えるきっかけとする。分析の道具である国際政治の理論を学ぶ入門編である。各理論の特徴を説明できるようにするとともに、17世紀以降の主権国家体制の流れをつかむ。同時に、国際報道について批判的に読み解く「メディア・リテラシー」を身につける。 |
|
今年度の授業内容 | ルールに基づく自由主義的な世界秩序が崩壊過程に向かっている現状を概観し、「自由主義」対「権威主義」が対立する世界の分断について考える。現代国家の成り立ちについて、17世紀以降の国際政治史の流れを追いながら、伝統的な現実主義のアプローチとリベラリズム理論を比較し、有用性を検討する。現在、国際的な論争となっている国際システムの「極」について討論していく。冷戦後、盛んになっているコンストラクティビズム(構成主義)、相互依存論、民主的平和論、グローバリズムの高揚と反作用などについて、足を踏み入れる。 | |
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 毎回、指定する範囲内でテキストを熟読、予習すること。新聞の国際ニュースを毎日欠かさず読み、流れをつかむこと。 また、国際ニュースの担当者は、1週間の出来事の中から重要と思われる報道内容をレジュメにまとめて紹介する準備を行う。(1時間)合計60時間 |
合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 新聞を毎日熟読し、国際ニュースの流れをつかむ。 | |
第1回 | 授業の概要説明と担当振り分け | |
第2回 | 私たちの現在:コロナ禍の世界と世界秩序の崩壊 | |
第3回 | 戦争はなぜ起こるのか。平和とはどのような状態か。 ウクライナ情勢分析と中東地域 |
|
第4回 | 現実主義とリベラリズムの原点を探る |
|
第5回 | 現実主義におけるパワーと影響力、国益の関係 |
|
第6回 | 現実主義における勢力均衡論 |
|
第7回 | ウエストファリア体制と国家中枢体系 | |
第8回 | ウィーン体制の意義 |
|
第9回 | ビスマルク体制 |
|
第10回 | 勢力均衡と第一次世界大戦の起源 | |
第11回 | 危機の20年 |
|
第12回 | 第二次世界大戦とは何だったのか |
|
第13回 | 冷戦時代と核抑止論 | |
第14回 | 冷戦後の世界と日本外交の挫折 | |
授業の運営方法 | 授業の冒頭、担当者が1週間の国際ニュースの中から最重要事項を報告する。参加者はそれぞれの質問や意見を述べて、討論に参加する。講読では、国際政治学の基本的理論がどこまで現実に当てはまるのか、検証を試みながらアプローチの視座を考える。そのうえで、各学生が関心のあるテーマについて、調査を行い、独自の視点から発表する。調査方法は事前の授業時間内に助言する。その後、全員で討論・質疑応答を行う。 国際政治学の基本的理論がどこまで現実に当てはまるのか、検証を試みながらアプローチの視座を考える。 |
|
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | ウエブ会議システムMicrosoft-teams上、各学生それぞれの「クラスノートブック」欄を用い、毎回の授業終了時に「リアクション・ペーパー」を投稿する。One Note機能をフル活用する。「リアクション・ペーパー」に質問は書かないこと。質問は授業時間内に直接、質問することが原則。「リアクション・ペーパー」には、授業内容のメモや気づいた点、指示に基づくそれぞれの意見を書きこむこと。教員はそれに対し、赤ペンで講評、添削を行う。レポート提出の場合も同様である。 場合によっては、チームズのチャット機能や、ポータル上の「掲示板」「Q&A」「メール」機能を利用する場合もある。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 0% | |
小論文・レポート | 60% | 中間、期末レポート |
授業参加 | 40% | 積極的な授業参加態度(ニュース報告と質問、意見表明、毎回の授業後コメント) |
その他 | 0% |
テキスト | ジョセフ・ナイ著「国際紛争ー理論と歴史(原書第10版)」(有斐閣)2500円。ISBN978-4-641-14917-5 リチャード・ハース著「The World 世界のしくみ」(日本経済新聞出版、2021年)2420円、ISBN978-4-532-1771-6 |
参考文献 | ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎」上・下(草思社文庫) 川上高司・石澤靖治編「トランプ後の世界秩序」(東洋経済新報社、2017年)のうち、笹島雅彦著「第2章日中関係【政治】」 田中明彦著「ポストモダンの『近代』」(中央公論新社) 多湖淳著「戦争とは何か」(中公新書、2020年)800円、ISBN978-4-12-102574-6 田中明彦・中西寛編著「新・国際政治経済の基礎知識」(有斐閣ブックス) 佐橋亮著「米中対立」(中公新書、2021年)940円、ISBN978-4-12-102650-7 細谷雄一著「国際秩序」(中公新書、2012年)880円、ISBN97-4-12-102190-8 小泉悠著「ウクライナ戦争」(ちくま新書、2022年)946円、ISBN978-4-480-07528-4 赤木完爾編「国際安全保障がわかるガイドブック」(慶應義塾大学出版会、2024)2200円 ISBN978-4-7664-2933-6 学生の問題意識に合わせ、適宜、助言する。 |
その他、履修生への注意事項 | (授業形態) 対面授業を主体とする。 (成績評価) 全14回の授業のうち、三分の二以上、つまり10回以上の出席者を成績評価対象とする。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 |
実務経験の概要 | 35年間に及ぶ新聞記者生活。政治部、国際部などに所属し、北京特派員として中国の暗部を探るなど、ジャーナリズムの最前線で働いてきた。 |
実務経験と授業科目との関連性 | 政治、外交、安全保障にかかわる豊富な現場体験をもとに、理論と現実の相違点を実証的にわかりやすく分析する。単なる教科書的な理論の紹介ではなく、深く現実政治の動向を見据えながら、ダイナミックに国際事象に切り込んでいく。 |