[戻る]
科目名考古学概説
担当者水本 和美
開講期2024年度秋学期
科目区分週間授業
履修開始年次1年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目・考古学とは、層位学と型式学にもとづく発掘調査により、地中から掘り出された資料(遺跡・遺構・遺物)を、周辺諸科学などのあらゆる情報をも用いて、正しく理解し、歴史と文化を再発見できる学問である。この答えの導き方、すなわち考古学的な思考方法は、現在、インターネットを用いた検索によって多様な答えが即座に得られる環境に生きる上では、かえって重要な意義を持つものと考えている。
・そこで、考古学が経験した過去の諸課題や、現在おこっている考古学をとりまく諸課題・諸問題を考えることで、考古学の持つ面白さを理解できるようにする。
・方法も重要であるが、実物資料をから考えることに意味を持つと思うので、実物にふれる機会を多く設けたい。考古学への入門の一歩として、また、社会人となった際に考古学を「楽しむ」ことができる教養として、さまざまな観点から伝えることを大切にしたい。
授業の達成目標学生は、考古学の学問の成果やその方法についての各回を講義を聴き、また講義の前後の予習・復習では講義で紹介された文献などを読むなどすることで、考古学の学問の成果やその方法に関する知識を得てそれを深めることができる。各回のリアクションペーパーによって、学生はその得られた知識等の学びを教員に対して示すことができる。そして、学期末のレポート提出によって、得られた知識と深めた考えについてをまとめ、どの程度の到達点に至ったかを客観的に理解することになる。併せて、学生は、実物資料から情報・知識につなげることについて考えるも考えを深めることができる。
今年度の授業内容・本講義では主として日本考古学の方法や成果について、おおむね時代別、時代の順番に沿って概説していく。
・考古学の成果とその成果が得られた方法について説明していくので、その方法と成果について区別しながら学んで欲しい。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について予習:必要時間(1~2時間)※自習に関する一般的な指示事項を参照のこと。
復習:必要時間(1~2時間)※自習に関する一般的な指示事項を参照のこと。
合計60時間
自習に関する一般的な指示事項①予習:各講義の内容について、事前にどんな講義になるのかを、予測してみる。この時、内容についてまったく思い浮かばない場合、その分野における自身の情報・知識のストックがない、ということである。その場合は、その分野の概説書について、まずはご自身で検索・読書してみる。1~2時間を目安とする。(※何か浮かんで、それが講義で出てきた場合はある程度の予備知識があることになる。)②復習1:講義で紹介した文献、博物館、Webサイトなどについては講義後に確認すること。目安は1~2時間程度。③復習2:個人で遺跡や博物館などに行った際に、講義で出てきた内容についてしっかりと見てくる。また、日頃より、友人・知人とも積極的に意見交換し、講義時に意見を求めた場合にはその内容を話せるようにしておくこと。「情報の収集➡咀嚼➡発信・表現」をひとつのまとまりとして取り組んでいただきたい。
第1回考古学とは何か(本講義のガイダンス)
第2回人類の歴史と日本の旧石器時代
第3回考古学の方法「層位学と型式学」〜変わるもの、変わらぬもの〜
第4回文化財保護法と考古学の歩み〜考古資料は誰のもの!?〜
第5回縄文時代の遺跡と文化〜縄文は“異文化”か?〜
第6回縄文文化の華、縄文土器の世界
第7回縄文のはじまりはいつなのか?〜考古学と自然科学〜
第8回西の弥生、東の縄文〜文字のある時代の考古学Ⅰ弥生時代〜
第9回文字のある時代の考古学Ⅱ 弥生時代(金属器の利用)
第10回文字のある時代の考古学Ⅲ古墳時代
第11回文字のある時代の考古学Ⅳ奈良・平安時代
第12回文字のある時代の考古学Ⅴ中世の考古学(トピックス琉球〜中央史観からの脱却)
第13回文字のある時代の考古学Ⅴ近世の考古学
第14回文字のある時代の考古学Ⅵ近現代の考古学
授業の運営方法・本授業は、対面授業です。必要な場合については、課題取り組み型を指示します。
・講義はPowerPointにより進めますが、すべての画面の文言をノートに取る必要はありません。PowerPoint画面は講義内容の理解の促進のためにあり、機械的にノートに書き写すことのみに注力するのは考える作業を妨げることになることがあります。文化財について考えを深めることを、講義参加の第一の目的にしてください。
・ノートを取る際には、文献名、法令名、Webサイトの名称、人名、資料名など、キーワードが何かを考えながら、後からご自身で確認・調べることのできるメモを作成するよう心がけてください。
・講義で紹介した内容は、実在する文化財や研究に基づいており、ご自身で実見することのできるものも多くあります。これらについては、機会を得て実見することをご検討ください。
・講義後は毎回、大学ポータルサイトからのリアクションペーパーをご提出ください。提出より各回の講義の出席とします。
・各講義の順序については、入れ替わる場合があります。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法・講義内容に関するご質問は、授業時(当該講義の時間中・前後の時間)に受け付けます。
・毎回のリアクションペーパーは、大学ポータルサイトから行います。
・課題(試験やレポート)の掲示は、大学ポータルサイトから行います。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
その他 50% 学期末には課題レポートを課す。講義(文化財)への理解度を評価する。
小論文・レポート 10% 講義の進捗により、小課題がある場合、これを提出すること。※多くても2課題程度です。
授業参加 40% 各回のリアクションペーパーの提出により講義出席とする。大学ポータルサイトより提出のこと。
テキスト ・本講義では、指定のテキストは用いません。
・ただし、各回の講義で紹介する文献について、各位が復習時にできる限りあたるようにしてください。
・時代の名称などが頻出するので、高校時代の教科書が手元にあれば、時代の順序については確認しておいてほしい。
参考文献 <概説書>
・濱田耕作1996『通論考古学』雄山閣出版(原書は大正11年)
・大塚初重他1978『日本考古学を学ぶ』1・2・3有斐閣選書
・鈴木公雄1996『考古学入門』東京大学出版会 *読みやすく、初学者にとっての良書。
・大塚初重他1978『日本考古学を学ぶ』1・2・3有斐閣選書
・山本孝文・青木敬・城倉正祥・寺前直人・浜田晋介著2022『考古学概説』
<海外の概説書※翻訳版>
・コリン・レンフルー ポール・ボーン2007『考古学−理論・方法・実践−』東洋書林
各回の講義では、それぞれのテーマに即した文献を随時紹介していきます。
その他、履修生への注意事項 ・PowerPoint画面を見ながらの講義です。必要に応じてノートを作成してください。
・復習のため、文字画面についてはスマホ等での撮影を行っても良いです。写真画面の撮影は、基本的に不可とします。
・講義後は毎回、大学ポータルサイトからのリアクションペーパーをご提出ください。提出より各回の講義の出席とします。
・期末レポート課題は、講義時と大学ポータルサイト上で行います。
・休講等の連絡など、大学ポータルサイトで行いますので、ポータルサイトについては常に確認するようにしてください。
・欠席の場合の理由(体調不良、教育実習、博物館実習、就職活動、部活動[大会・試合のみ])については一定の配慮をしますので、なるべく事前、できなければ事後に、書面により届け出てください。
・新型コロナウイルス関係の取り扱いは、大学の方針に準じます。大学の方針を確認してください。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【文学部 人文学科】
実務経験の概要 文化財・埋蔵文化財に関するキャリア:①豊島区遺跡調査会(発掘調査)、②新宿歴史博物館(埋蔵文化財課)、③千代田区教育委員会(文化財事務室)
博物館に関するキャリア:①新宿区区立新宿歴史博物館、②千代田区立四番町歴史民俗資料館、③千代田区立日比谷図書文化館(立ち上げ)
文化財調査に関するキャリア:東京藝術大学大学院、科研費研究における文化財調査・研究
社会貢献:江戸遺跡研究会等の研究会・学会運営、東京都環境影響評価審議会(史跡・文化財担当)
実務経験と授業科目との関連性 大学時代から、さまざまな時代、全国各地の遺跡、で発掘調査・整理調査・報告書作成にあたってきた。文化財担当職として、埋蔵文化財の照会、試掘調査、本調査の調整業務などの実践経験もある。また、こうして発掘された資料に関する展示会や講演会なども開催、現在でも考古資料の研究を行っている。技術的には、手作業で行っていた作業のデジタル化が進む過渡期を経験したので、双方の方法について経験がある。このため、具体的な考古学実践の取り組みから、研究レベルまでに対応した講義を行うことができる。