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科目名情報文化史
担当者吉澤 京子
開講期2025年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業形態対面(全回対面)
オンライン実施回
全回対面
授業題目西洋の情報文化
授業の到達目標古代から近世にかけて使われていた文字の形(書体)をおおまかに識別することができるようになる。
初期キリスト教から中世末にかけて修道院文化と書物の成り立ちについて、概略を説明することができる。
印刷技術と出版物・印刷物が同時代の文化、社会に与えた影響について、概略を説明することができる。
写本や印刷本の挿絵表現について、特徴を説明することができる。
近現代の読書文化について基礎知識をもち、自らの読書体験を語ることができる。
今年度の授業内容はじめに文字および書体の歴史を古代~ルネサンス時代について概観し、中世の写本および写本画について、その形態的特性と造形的特徴について解説する。次に、印刷技術の発明と普及、それに伴う書物および挿絵の変化を扱う。宗教改革、対抗宗教改革期の図入りの印刷物に注目し、プロパガンダとカリカチュアの問題についても触れる。
版画の事例として16世紀のデューラーの作品や19世紀の「ファッション・プレート」などにも目を向けて、印刷と当時の生活文化との関連も考察したい。
準備学修(予習・復習等)の具体的な内容及びそれに必要な時間について(予習)授業中に配布する資料の全体を読み、未知の用語や歴史事項について調べる。歴史事項については、最低限、高校「世界史」の教科書程度のレベルで把握しておくと、講義をスムーズに理解できると思われる。
(復習)授業資料やノートを見直し、その回の概要をまとめ、理解を深めるよう努めてほしい。

1回平均約190分
自習に関する一般的な指示事項基本的に歴史の流れに沿って講義を進めていくが、世界史や地理の基礎的事項について初歩的な解説をする時間的ゆとりは授業時間内にないので、自習をすることで知識獲得につとめてほしい。もちろん、特殊な地名や事項についてはその都度、説明を行う。
授業の特徴(アクティブラーニング)リアクションペーパー/レポート/体験学習・調査学習
第1回導入。取り上げる範囲や課題の頻度やフィードバックの方法などを説明する。次回の講義内容に関連して、楔形文字について紹介する。
第2回古代の文字と使用事例(1)古代メソポタミア、古代エジプトの文字について碑文などの事例を紹介し、パピルスの製造過程を解説する。
第3回古代の文字と使用事例(2)古代ギリシア、古代ローマの文字について碑文などの事例を紹介し、後世に長く手本とされた書体について解説する。
第4回初期中世の文字と写本制作 キリスト教の布教とともに書物の需要が増し、修道院でさかんに制作された写本の字体および写本画について解説する。
第5回中世の修道院と写本制作 写本制作の中心をなした修道院とはどのような場所で、修道士たちはどのような仕事をしていたか、解説す
第6回中世末期から初期ルネサンスの字体と写本画 華麗な挿絵で知られる中世末期の写本をDVDで紹介した後、ルネサンス時代に向かう時代を扱う。
第7回中世写本の制作工程 羊皮紙の製造、写字生の仕事(ルーリング、書写)、挿絵彩色画家の仕事(箔押し、彩色)、製本について事例を示しながら解説する。
第8回イタリア・ルネサンス期に発達した書体、ルネサンス絵画の様式が挿絵に描かれた事例などを紹介する。印刷と手彩色挿絵の混在などについても触れる。
第9回活版印刷の発明と普及、挿絵技法について ドイツで15世紀に確立した活版印刷術の急速な普及について述べ、挿絵はどのように変化したかを解説する。
第10回宗教改革期の時代背景と事象 宗教改革に新メディアである印刷がどのような役割を果たしたかをプロテスタント側の事例について解説する。
第11回対抗宗教改革の印刷物 カトリックの側でもさかんに新メディアを使った活動が行われた。印刷のみならず、絵画や彫刻などについても触れる。
第12回近世文化と印刷物(1)啓蒙主義の時代の特徴的な出版物や、パリやベルリンに見られたサロン文化と読書のありようについて解説する。
第13回近世文化と印刷物(2)流行をいち早く宣伝する「ファッション・プレート」などのメディアについて、具体的事例を紹介する
第14回情報文化の今後 現代社会は情報革命のまっただ中にある。それらが我々にもたらす恩恵と危険の両面について考察する。
授業の運営方法講義形式で行う。毎回、スライドやDVDで具体的な事例を示しながら解説する。写本画について扱う回においては、使用されていた技法の理解をうながすために、複製画や画材の原料等を、実際に手にとって見る体験学習を取り入れる予定である。とくに写本の支持体であるパピルスや羊皮紙、紙については実物に触れて質感を実体験するアクティブラーニングを行う予定である。
授業で取り上げるトピックによっては、授業の前半を講義、後半は「授業中に行う課題」の作成という2段構成で運営する。



課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法授業中に行う課題については、必要に応じて優れたケースを紹介し、また誤解理解不足が見られる典型的なケースに対しては、正しい理解をうながすべく詳しい説明を適宜行う。

評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% 実施しない
小論文・レポート 50% 期末レポート(2500字以上)
授業参加 50% 授業中の課題の提出率、積極的な発言等
テキスト テキストは使用しない。授業の進行に合わせて資料を配布する。
参考文献 『世界でいちばん素敵なルネサンスの教室』監修:祝田秀全、三才ブックス、2022年、1500円+税、ISBN978-4-86673-298-5
『本の歴史』 ブラセル、/創元社、知の再発見双書80/1998年
『西洋書体の歴史 古典時代からルネサンスへ』スタン・ナイト著、高宮利行訳、慶応大学出版会、2001年、6500円+税、ISBN4−7664−0834−9
『西洋美術館』 小学館、1999年 、15000円+税、ISBN4−09−699705−6
『ヨーロッパのサロン 消滅した女性文化の頂点』ヴェレーナ・フォン・デア・ハイデン=リンシュ著、石丸昭二訳、法政大学出版局、1998年、3000円+税、ISBN978-4-588-02191-6
八木健治『羊皮紙をめぐる冒険』2024年、本の雑誌社、ISBN 978-4-86011-494-7 1800円+税
その他、履修生への注意事項  
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【文学部 人文学科】
カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】
カリキュラムマップ【文学部 コミュニケーション文化学科】