科目名 | 情報文化史 | |
担当者 | 吉澤 京子 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 西洋の情報文化 | |
授業の達成目標 | 古代から近世にかけて、主としてヨーロッパで使われていた文字の形(書体)をおおまかに識別することができる。 中世世界における書物の成り立ちについて、概略を説明することができる。 印刷技術と出版物・印刷物が同時代の文化、社会に与えた影響について、概略を説明することができる。 写本や印刷本の挿絵表現について、概略を説明することができる。 |
|
今年度の授業内容 | はじめに文字および書体の歴史を古代からルネサンス時代にかけて概観する。 次に西洋中世の写本および写本画について、その形態的特性と造形的特徴について論述する。事例は、完成された写本をとりあげるのみならず、制作途中で放棄されたことでかえって写本制作のプロセスや、技法・材料を理解することのできるものにも広げる。 次に、印刷技術の発明と普及、それに伴う書物および挿絵の変化について論述する。重点を置くのは、宗教改革、ドイツ農民戦争、対抗宗教改革などの激動の時代に出版された図入りの印刷物である。現代の風刺画にも通じる事例などを通じて、プロパガンダとカリカチュアの問題についても触れたい。 挿絵に用いられた版画技法(木版画、銅板画)について理解を深められるよう、16世紀ドイツにおいて大きな成果を残したデューラーの作品(特に、『ヨハネによる黙示録』)を取り上げる予定である。さらに、19世紀の「ファッション・プレート」などの印刷物にも目を向けて、印刷と当時の生活文化との関連も考察したい。 |
|
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | (予習)授業中に配布する次回以降の資料を読み、未知の用語や歴史事項について調べる。歴史事項については、最低限、高校の教科書程度のレベルで把握しておくと、講義をスムーズに理解できると思われる。 (復習)授業資料やノートを見直し、その回の概要をまとめ、理解を深めるよう努めてほしい。 |
合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 歴史の流れに沿って講義を進めていくが、世界史や地理の基礎的事項について初歩的な解説をする時間的ゆとりは授業時間内にないのでそれらの点については、自習をすることで知識獲得につとめてほしい。 |
|
第1回 | 導入。取り上げる範囲の説明 | |
第2回 | 古代の文字と使用事例(1)古代エジプト | |
第3回 | 古代の文字と使用事例(2)古代ギリシア・ローマ | |
第4回 | 初期中世の文字と写本制作 | |
第5回 | 中世の修道院と写本制作 | |
第6回 | ゴシック時代の字体と写本 | |
第7回 | 中世末期~初期ルネサンスの字体と写本 | |
第8回 | イタリアルネサンス時代に発達した字体と、その後の書体の変遷について | |
第9回 | 活版印刷の発明と普及、挿絵技法(木版画ならびに銅版画)について | |
第10回 | 宗教改革期の時代背景と事象。印刷技術の果たした役割 | |
第11回 | 宗教改革・対抗宗教改革期の挿絵入り印刷物 | |
第12回 | 近世文化と印刷物(1)啓蒙思想の時代、パリやベルリンにおけるサロン文化 | |
第13回 | 近世文化と印刷物(2)ファッション・プレート等 | |
第14回 | 情報文化の今後 | |
授業の運営方法 | 講義形式で行う。毎回、スライドやDVDで具体的な事例を示しながら解説する。写本画について扱う回においては、使用されていた技法の理解をうながすために、複製画や画材の原料等を、実際に手にとって見る体験学習を取り入れる予定である。 授業で取り上げるトピックによっては、授業の前半を講義、後半は「授業中に行う課題」の作成という2段構成で運営する。 |
|
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 授業中に行う課題については、必要に応じて優れたケースを紹介し、また誤解理解不足が見られる典型的なケースに対しては、正しい理解をうながすべく詳しい説明を適宜行う。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 50% | 教場にて筆記試験を行う |
授業参加 | 50% | 授業中に行うワークシート作成、リアクションペーパー等の課題の提出率および内容を評価対象とする |
テキスト | テキストは指定しない。授業中にプリントを配布する。 |
参考文献 | 『世界でいちば素敵なルネサンスの教室』監修:祝田秀全、三才ブックス、2022年、1500円+税、ISBN978-4-86673-298-5 『本の歴史』 ブラセル、/創元社、知の再発見双書80/1998年 『西洋書体の歴史 古典時代からルネサンスへ』スタン・ナイト著、高宮利行訳、慶応大学出版会、2001年、6500円+税、ISBN4−7664−0834−9 『西洋美術館』 小学館、1999年 、15000円+税、ISBN4−09−699705−6 『ヨーロッパのサロン 消滅した女性文化の頂点』ヴェレーナ・フォン・デア・ハイデン=リンシュ著、石丸昭二訳、法政大学出版局、1998年、3000円+税、ISBN978-4-588-02191-6 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】 カリキュラムマップ【文学部 コミュニケーション文化学科】 |