科目名 | レトリック概論 | |
担当者 | 中村 聡 | |
開講期 | 2023年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 1年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 私たちの身の回りの、言葉の技巧 | |
授業の達成目標 | ・私たちが日常生活のなかで無意識に使っているレトリックに意識を向け、それらの表現を理論的に分析・解釈できるようになる。 ・それらの技巧を自ら使うことによって、自らの言語生活を豊かなものにできる。 ・普段の生活であたりまえのように使ってきた言語表現を掘り下げて考えることによって、言語現象を理論的に考察する視点を持てるようになる。 |
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今年度の授業内容 | レトリックは、自分の考えを巧みに表現して相手を説得するための弁論術、文芸作品において読者に強い印象を残すための言葉の技法として認識されている。この授業では後者の言語的技巧に焦点を当てる。技巧とはいうものの、これは別に作家、詩人、作詞家、コピーライターなどの特別な才能を持つ、ことばのプロフェッショナルたちだけに限らず、実は日常の何気ない会話に広く浸透し、われわれの言語活動を支えている。本講義では、日本語・英語を中心に、講義前半では比喩表現を、後半ではその他の誇張、皮肉、言葉遊びなどの言語技巧を、言語学の視点から探っていく。 考察の対象とするレトリックの実例は、小説、歌詞から電車内の広告、新聞の折り込みチラシ、TVコマーシャルまで、多岐に亘る。これらの実例は、担当教員が配布資料で示すほか、履修生にも提供してもらう。 |
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準備学修 予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 履修生は、自発的にその回の授業のテーマに関する身の回りの興味深いレトリックの実例をポータルを使って提出する。それがその日の授業の復習となり、次の授業の予習となる。この課題に要する時間は2時間程度となるだろう。 | 合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | ふだん見聞きする言葉を、授業で学んだ言語的技巧がどのように使われているかを意識して観察し、実例提出の際にそれを反映させること。 | |
第1回 | レトリック(rhetoric) という言葉が指すもの 擬人法 (personification): うちのクルマはガソリンをよく食うんだよね |
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第2回 | 隠喩 (metaphor): そうさ 僕らは世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ(槇原敬之 作詞『世界に一つだけの花』) | |
第3回 | 直喩 (simile) : ひまわりのような まっすぐなその優しさを 温もりを全部(秦基博 作詞『ひまわりの約束』) | |
第4回 | 換喩 (metonymy): 自転車を漕ぐっていうけれど、本当はペダルを漕ぐんじゃないの? | |
第5回 | 提喩 (synecdoche): お花見って実際は桜見でしょう? | |
第6回 | 共感覚法 (synesthesia): 明るい笑顔、明るい声、黄色い声 | |
第7回 | 概念メタファー (conceptual metaphor): 「政権争い」「選挙に勝つ」「政敵」「選挙戦」「出馬する」に共通する概念は? | |
第8回 | 誇張法 (hyperbole): 昨日の練習はきつくて死んだ 列挙法 (accumulation): ゆう子あい子りょう子けい子まち子かずみひろ子まゆみ 似たよな名前はいくらもあるのに 私じゃ駄目ネ(中島みゆき 作詞『あの娘』) |
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第9回 | トートロジー (tautology): 自分は自分、他人は他人 | |
第10回 | 曲言法 (litotes): これって楽しくなくない? | |
第11回 | オクシモロン(oxymoron): 35歳の少女、大学でない大学 誤用語法 (malapropism): 『ナイツ』と『四千頭身』のネタ |
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第12回 | アイロニー (irony): また予選で落ちちゃったな。君のおかげだよ。ありがとう | |
第13回 | 擬音語・擬態語 (onomatopoeia): 胸の鼓動がドキドキ、目先はくらくら(阿久悠 作詞『サウスポー』) 掛詞 (paranomasia): 『家事ヤロウ』(テレビ朝日 放映番組)、「アボカ丼」(料理愛好家 平野レミの造語) |
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第14回 | 月曜日授業は、1時限105分、13回で実施する。 | |
第15回 | 月曜日授業は、1時限105分、13回で実施する。 | |
授業の運営方法 | 担当教員が作成した配布資料に基づき講義する。履修生は、自発的にその回の授業のテーマについて身の回りの興味深い実例をポータルを使って提出する。教員は、その次の回の授業で、それらの実例を取り上げ、講評する。(遠隔授業を実施する場合は、Microsoft Teams を使うリアルタイム授業となる。具体的な内容は、「その他、履修生への注意事項」を参照のこと。) | |
課題 試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 履修生は、自発的にその回の授業のテーマについて身の回りの興味深い実例をポータルを使って提出する。教員は、その次の回の授業で、それらの実例を取り上げ講評する。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 70% | 定期期間中に実施する、教室での筆記試験によって、授業目標の達成度を測る。 |
小論文・レポート | 0% | なし |
授業参加 | 30% | 授業テーマに関する実例のポータル上での自主的提出の回数と質、授業内での自発的発言の回数と質 |
その他 | 0% | なし |
テキスト | 定めない。 |
参考文献 | 佐藤信夫. 1992. 『レトリック感覚』 講談社学術文庫. 佐藤信夫. 1992. 『レトリック認識』 講談社学術文庫. 瀬戸賢一・宮畑一範・小倉雅明 (編著). 2022. 『「例解」現代レトリック事典』 大修館書店. |
その他、履修生への注意事項 | 遠隔授業を実施する場合の注意点は次のとおり: ・Microsoft Teams を使用して、リアルタイム授業を行う。授業内で出欠確認をする。 ・履修登録した学生宛に Teams のコードを、ポータル掲示にて伝える。遠隔授業の日はTeamsにアクセスし、コード入力をし て、クラスのチームに参加すること。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【文学部 人文学科】 カリキュラムマップ【文学部 現代文化表現学科】 カリキュラムマップ【文学部 コミュニケーション文化学科】 |