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科目名総合科目(日本とアジア)
担当者熊本 史雄、岡山 麻子
開講期2023年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目日本の近代化とアジア
授業の達成目標私たちが日頃直面するさまざまな問題事象は、一つの問題に対して多種多様な要因が複雑かつ有機的に絡んでおり、極めて多面的な構造を呈したものがほとんどです。そのために、一つの問題を解決しようとする場合、ある一方からの視点だけではなかなか解決することができません。
 このようなことは学問の研究の場合についても同様で、一つの問題提起に対して、一専門分野からの視点だけでは解決できない場合が多く、複数の学問分野の視点からアプローチすることによって初めて解決可能となる場合が多くなっています。
  この総合科目では、専攻分野の異なる複数の担当者で一つのテーマを扱います。一つのテーマについて、それが多面的な構造であることを理解するとともに、その本質はいったい何なのか、総合的視野に立って分析・解決するとはどういうことか、どのような複数のアプローチが可能か、などということについて具体的に事例を挙げながら授業を進め、総合的な視野で考える力を身につけ、多面的に説明できることを目的とします。
 1年次におけるプロゼミは学問研究への導入として、この総合科目は総合的・多面的な視野からものの本質を捉えるための具体的な学問研究の方法として、それぞれ位置付けられており、互いが有機的に機能するように配置されています。
今年度の授業内容この講義では、明治初期〜昭和戦時・戦後期にかけての近代日本が、アジアとりわけ朝鮮や中国と、どのように向き合い、政治・経済・外交・文化・思想・学問などの諸相を通じて、どのような交流を行ってきたのかについて、体系的に学ぶことを目指します。
 一口に「交流」と言っても、その内容・実態は様々です。援助をしたり受けたりした友好的な交流がなされ、それによって相互の理解が深まった事例もありました。しかしその反面、緊張や対立が原因となり、それが軍事的な衝突、ひいては戦争にまで至る場面もありました。
 このように、近代日本とアジアの国々は、友好と対立が混在した複雑な関係を切り結びながら、交流を重ねてきたのです。そのような交流の諸相と、そこに宿る近代国家が抱えた課題について理解し、説明できるようになることを目標に設定して、講義を行います。
準備学修 予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間についてテキスト及び授業資料を事前に読んで、ポイント・疑問点を整理しておくこと。講義後はテキストを再読し、理解を深めること。
ちなみに、本講義では、2冊のテキストを使用する(以下の「テキスト」の項目を参照し、それぞれ購入しておくこと)。
合計60時間
自習に関する一般的な指示事項テキスト及び授業資料を熟読すること。また、参考文献や授業内に紹介する関連文献等に積極的に目を通すこと。
ちなみに、本講義では、2冊のテキストを使用する(以下の「テキスト」の項目を参照し、それぞれ購入しておくこと)。これらを授業回によって適宜使い分けるので、それぞれの授業回に応じて、テキストの指定箇所を事前によく読んでおくこと。

 第1回「近代日本とアジア」を学ぶにあたって(岡山・熊本)
 第2回樽井藤吉と福沢諭吉—「国家」の捉え方とアジア(岡山)
 第3回山県有朋の「外交政略論」—朝鮮の「独立」と「保全」(熊本)
 第4回岡倉天心のアジア観(岡山)
 第5回小村寿太郎と満洲(熊本)
 第6回中国革命と日本(岡山)
 第7回第一次世界大戦と日本の対中国政策(熊本)
 第8回芥川龍之介と中国(岡山)
 第9回幣原喜重郎と満洲事変(熊本)
 第10回尾崎秀実と中国の民族主義(岡山)
 第11回松岡洋右と日独伊三国軍事同盟(熊本)
 第12回竹内好と魯迅(岡山)
 第13回近衛文麿の終戦構想—ソ連観をめぐって(熊本)
 第14回吉田茂の日本再生プログラム—極東アジアの安全保障(熊本)
 第15回戦後日本人と中国(岡山)
授業の運営方法講義形式で行う。各回のテーマについて主担当の教員が講義を行い、それを受けて他方の教員がコメント等を行う。
遠隔授業に際しては授業資料を配信し、学生は受講後小レポートを提出する。
課題 試験やレポート等に対するフィードバックの方法特徴的な見解の紹介と講評をおこなう。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
定期試験 0% 実施しない
小論文・レポート 70% 期末レポート
授業参加 30% 平常点
その他 0% 実施しない
テキスト 菊池秀明『中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国』講談社学術文庫、2021年、ISBN978-4-06-523094-7
油井大三郎『避けられた戦争 ~一九二〇年代・日本の選択~』ちくま新書)、2020年、ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480073211
参考文献 入江昭『日本の外交』中公新書、1978年
竹内好『日本とアジア』ちくま学芸文庫、1993年
松本三之介『近代日本の中国認識』以文社、2011年
筒井清忠編『昭和史講義』ちくま新書、2015年
熊本史雄『幣原喜重郎』中公新書、2021年
その他、履修生への注意事項 遠隔授業が必要な際は、次の要領で実施する。
1 遠隔授業の方法
   ポータルにおいて授業資料を配信する。学生は受講後、小レポートを提出する。
2 出席確認の方法
   小レポートを1回提出することで、1回の出席とカウントする。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【全学共通科目】