科目名 | ロシア語とロシア文化 | |
担当者 | 加藤 百合 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 3年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | キリル文字と発音を学び、ロシア文化について知る。 ロシア文化の花であるロシア文学を味わう。 |
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授業の達成目標 | キリル文字で書かれたテキストを、アクセントに留意して正しくきれいな発音で音読することができる。ロシア語の挨拶や、簡単なやりとりができるようにする。 講義で取り上げるロシアの人名、事象名をロシア語を通じて理解する。そしてそれらについて授業で学んだ内容を説明することができる。 講義を通じてロシア文化への興味をもち、自分で関連の情報をさがして理解を深めることができるようになる。 |
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今年度の授業内容 | ロシア連邦のみならずいろいろな地域で話されている国際語であり国連の公用語ともなっている、豊かな文学や芸術の伝統を持つロシア語の基礎に加えて、ロシア文化の多様な展開と現代世界への影響について学んでいく。中央アジアやバルカン地域にまで広がる独自のキリル文字の簡単な読み書きができるようにする。 今年度は、昨年度にひき続き、ロシア文学の黄金時代19世紀の代表的な作品をロシア史の文脈の中で味わうことが、授業のテーマである。ロシアは、歴史・文化のうえで日本と多くの共通点をもっており、そのため明治期以降、ロシアの近代化(西欧化)は日本の近代化(西欧化)のモデルとなった。自然信仰とキリスト教の二重信仰や、急激な上からの西欧化によるアイデンティティのゆらぎなど、ロシア文学の主題は日本人の心に近いところがある。 現代のポップな文化までの連続性を感じられるように話したい。 |
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準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 普段からロシアに関するニュースなどに興味をもっていてください。ゲームや漫画などで触れているスラヴ・ロシアについてのイメージなどについても、質問やディスカッションに喜んで応じます。また、授業を聴く中で興味を持ったことや疑問などをFBして、学びをふかめる。 | 合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 講義の内容を理解するために必要なテキスト(短篇小説や長編の一部など、ロシア文学作品など)を授業中に随時指定する予定。受講者は指定されたテキストの指定された範囲を通読しておくこと。「あらすじ」などに頼らず、かならず自分で通読してください。 | |
第1回 | ロシアはどこにあるのか?私たちはロシアをどのくらい知っているだろうか?ロシアという国、ロシア文化という文化の範囲をまず意識する。 この授業全体のオリエンテーション(1) |
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第2回 | ロシアはどこにあるのか?私たちはロシアをどのくらい知っているだろうか?ロシアという国、ロシア文化という文化の範囲をまず意識する。 この授業全体のオリエンテーション(2) |
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第3回 | 文字と音をむすびつけて学ぶ(1) キリル文字のなりたちを知り、ロシア語の音を味わう。 | |
第4回 | 文字と音をむすびつけて学ぶ(2) キリル文字で書かれた文章を自由に読めるようにする。 | |
第5回 | ルーシ(古代ロシア)の時代。スラヴ民族という考え方。スラヴ民族の暮らしとフォークロア。移動と森の文化の始まり。ロシア文化の中に現代まで生きている風土と生活のむすびつきについて、その古代からの歴史をふりかえりながら民俗学的に知る。昔話や伝説など。 | |
第6回 | ルーシ(古代ロシア)の時代。ロシア古代史。大公国から帝国へ。キリスト教の受入れなど。ロシア正教と正教文化の特徴について、他のヨーロッパのキリスト教文化とも比較しながら知る。 | |
第7回 | ピョートル大帝(1) ピョートル大帝までの時代。そしてピョートル大帝の時代。ペテルブルグの建設/ルーシの伝統との分断 | |
第8回 | ピョートル大帝(2)ロシアの皇帝(ツァーリ)と農奴について。 ロシアは東か西か?という問題について考えてみよう。 | |
第9回 | プーシキン デカブリストの乱/ラテン語・フランス語による文芸からロシア文学へ ロシア文学のテーマ:「青銅の騎士」「エフゲーニイ・オネーギン」 | |
第10回 | 貴族の文学(1) トルストイ、ゴンチャロフ、ツルゲーネフ 地主貴族と農奴 |
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第11回 | 貴族の文学(2) トルストイ、ゴンチャロフ、ツルゲーネフ 散文の詩/地主貴族と農奴/「猟人日記」/「死せる魂」 |
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第12回 | 雑階級の文学(1) ゴーゴリ 「ちっぽけな人々」/ペテルブルグ/官僚制と幻影の町/「ネフスキー大通り」 |
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第13回 | 雑階級の文学(2) ドストエフスキー 雑階級の出現/都市の文学/「罪と罰」 |
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第14回 | 券代ロシアの児童/若者文化について アニメ、カワイイ、映画などについて触れながらロシアとのつながりを確認する。 |
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授業の運営方法 | ロシア語の文字と発音を学ぶときには、積極的に声を出してみる。また、文字と発音の確認のためのプチ課題を出す予定。 ロシア文化(文学)については、基本的に講義形式とする。毎回の授業のあと、リアクションペーパーを利用して理解を確認したり感想・質問などを書く機会をつくる。 講義の補助として、パワポで視覚的な教材を提供する。ただし教科書を使用しないので、キーワードや講義内容については自分でノートをとってほしい。 |
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課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | コメントシートなどで出た質問に対しては、次回以降の授業の中で詳しく解説するか、授業時間に意見の紹介とコメントを行う。必要な場合にはメール等で個別に指導・講評を行うことがある。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 0% | 実施しない。 |
小論文・レポート | 50% | 期末レポート。学期の終わりまでにいくつかのテーマを提示するので選択してレポートを作成する。 |
授業参加 | 50% | 授業時間中に指示する小課題等 |
テキスト | 資料やテキストが必要になる場合、随時配布する。配布されたものは、毎回の授業時に持参すること。 |
参考文献 | 「鼻」「外套」(ゴーゴリ)、「芋粥」(芥川龍之介)、「猟人日記」(ツルゲーネフ)、「武蔵野」(国木田独歩)、「罪と罰」(ドストエフスキー)、「破戒」(島崎藤村) |
その他、履修生への注意事項 | コロナ感染防止対策のための変則的な授業進行は終息しました。しかし、一昨年初頭以来、ロシアという国は思いもかけないほどの強い脅威として私たちを震撼させています。ロシアの文化やロシアの民衆の心性についても改めて批判的にふり返る必然性が出てきました。講義する私の側からしてもこれまでにない心苦しい、葛藤のある授業となってしまいます。けれども、それでもなお、ロシアを知ろうという意欲を失いたくないし、ロシアを黒く塗りつぶして世界から消したくありません。ロシア語とロシア文化の魅力と蓄積を知る場として、できるかぎり楽しい学びができるようにしたいと思います。講義の内容をコンパクトにしてみなさんが自分たちで検索したり調べたりする時間も設けていきたいと思います。 《出席回数》➀毎回出席して②ちいさな課題(出席して受講すればできるもの)を提出することで「出席」とします。欠席が4回以上の方は欠格(期末レポート提出資格無し)とします。ただし病気や部活の大会、就職面接など、事情がある欠席は考慮しますので申し出てください。 《成績評価方法》授業への積極的参加+毎回のちいさな課題+期末レポート(題目は後日連絡) |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【全学共通科目】 |