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科目名ヨーロッパ中世文学
担当者泉谷 千尋
開講期2024年度春学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目中世ドイツ書記文化概論
授業の達成目標・ヨーロッパ「中世」とは何かを自分なりに説明できる。
・ヨーロッパ諸言語の歴史について概略を説明できる。
・宮廷を舞台として生産された宮廷叙情詩・叙事詩について知識を得る。
・中世の書記文化を支えたメディアや写本について説明できる。
今年度の授業内容中世ドイツの書記文化の発展を、「言語」「キリスト教」「メディア」「宮廷・修道院」「学校・教育」などをキーワードに解説する。解説の中で、『アンノの歌』、『ザクセン世界年代記』、『グレゴーリウス』等のテキストを対訳付で紹介していく。ヨーロッパ中世の世界観と精神世界に迫る。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について各授業の予習は特に不要であるが、各授業後には内容を振り返り、復習ノートにまとめ、テーマに沿った文献を読み、知識を深める(各回1時間程度)。 合計60時間
自習に関する一般的な指示事項中世文学作品は、岩波文庫等で手軽に触れることができるものもある。受講者各自の興味に従い、何らかの文学作品を選び、邦訳で読んで期末レポートを提出してもらうので、受講者は自発的に作品に接してもらう必要がある。また聖書の知識は中世文学の理解には欠かせないので、各自読んでおくことが望ましい。
第1回ガイダンス/期末レポートについての説明/「アンノの歌」
第2回中世とは何か(1)
美学的・文化的観点、および修史的観点
第3回中世とは何か(2)
ローマ帝国の連続としての中世/四帝国論
第4回ドイツ中世の言語(1)
ドイツ語の地域的・時代的発展
第5回ドイツ中世の言語(2)
ドイツ語の各地域言語
第6回中世における「文学」
近代文芸学と歴史的文芸学/動物学文献、ザクセンシュピーゲル、中世の料理本
第7回中世書記文化の社会的背景(1)
ホーエンシュタウフェン朝を中心とする王朝文化/ハルトマン・フォン・アウエ
第8回中世書記文化の社会的背景(2)
中世文学の「聴衆」と「パトロン」/中世文学の社会的機能/恋愛叙情詩
第9回キリスト教的世界観・世界解釈(1)
救済史/中世の世界地図/キリスト教的世界像/ゴットフリート・フォン・シュトラースブルク
第10回キリスト教的世界観・世界解釈(2)
「書物の中の書物」=聖書/自然の霊的解釈/「ニーベルンゲンの歌」
第11回キリスト教的世界観・世界解釈(3)
予型論/聖書の多重な解釈/ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ
第12回中世の教育と書記能力(1)
修道院
第13回中世の教育と書記能力(2)
大学教育/作品鑑賞
第14回まとめ・到達度検査
授業の運営方法プリントを使った講義形式。紹介する作品には原文に対訳を添え、なるべくイメージをつかみやすく説明するつもりである。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法次の回の授業でフィードバックを行う予定である。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
その他 50% 第14回目に行う、講義の内容理解度を問う到達度確認検査
小論文・レポート 30% 下記を参照のこと。
授業参加 20% 各回の授業後に行う予定の小テスト。これの提出をもって出席とします。
その他 0% なし
テキスト 授業中にプリントを配布
その他、履修生への注意事項 以下の1., 2., 3.を総合的に評価する。2., 3.のいずれも受験・提出しなかった者には単位を授与しない。必ず少なくともどちらかは受験・提出すること。

1.毎回の授業ごとの確認テスト(20%)
・毎回の授業で話した内容について確認テストを行う。
・授業の最後の10分程度とする。出席確認もこれで行う。

2.第14回目の授業回に行う到達度評価検査(50%)
・13回分の授業で話した内容について、論述問題に回答する。
・授業中に配布したプリント類やノートを持ち込んでよい。暗記ではなく、理解とそれを自分の文章で再現できる能力を問う。

3.レポート(30%)
①、②のいずれか1つを選択する。
①中世ヨーロッパに関係する文献を1つ読み、自分の興味と関連付けて、「中世ヨーロッパ(文学,歴史...)わたしの視点」と題する新聞コラム記事を、800~1200字で提出する。
②日本の伝統的な詩歌(短歌、長歌等の和歌)と授業で鑑賞したドイツのミンネザングを比較し、「中世の日本とドイツの詩」と題するレポートを、800~1200字で提出する。その場合は、日本の奈良・平安時代の和歌等を1つ選び、授業で扱ったミンネザングと比較検討するなどの手段がある。

①を選択する者は、対象は「文学」に限る必要はない。もちろん岩波文庫などで読める中世文学関連作品(『ニーベルンゲンの歌』(ドイツ)、ベディエ『トリスタン・イズー物語』(フランス)など)でもよい。
文献の例として以下を挙げる。

阿部謹也(1935~2006)の著作
ハーメルンの笛吹き男(ちくま文庫)
中世を旅する人びと(同)
中世の星の下で(ちくま学芸文庫)
西洋中世の罪と罰(講談社学術文庫)
中世賤民の宇宙(筑摩書房)
など。日本でヨーロッパ中世を初めて広く一般向けに紹介した人で、読みやすい。

その他、
ヨーロッパ中世人の世界(新倉俊一著、ちくま学芸文庫)
放浪学生のヨーロッパ中世(堀越孝一著、悠書館)

中世ヨーロッパに関する本は枚挙にいとまがないほどある。自分の関心に従って、どれか一つを選ぶこと。

注意:
著者の主張を正しく理解し、自分の関心と関連付けて論述を組み立てることができているレポートであること。


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