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科目名聖書学
担当者宮崎 修二
開講期2024年度秋学期
科目区分週間授業
履修開始年次3年
単位数2単位
授業の方法講義
授業題目
聖書を読み、聖書を知る
授業の達成目標
書物としての聖書の構成、主な物語の内容、背景となっている時代について、その概要を説明できるようになることが第一の目標となる。その上で、預言思想や終末思想など、ユダヤ教、キリスト教の信仰の中心となっている宗教思想がどのように聖書から読みとれるのかを展望し、言語化する能力を習得することが望まれる。これは現代における宗教的な問題について、自分なりの意見をもち、必要な時に適切な判断を下すための備えとなる。
今年度の授業内容
聖書について学ぶということはどういうことなのか。この問いを念頭に聖書の内容に触れていく。キリスト教信仰から距離をとって古代文書のひとつとして聖書を読むとしても、世界中で宗教書として読まれている書物であるという事実は、単なる知識の獲得で学習を終わらせられない側面をもつ。「聖書」の全体像を概観しながら、それが現代にまで伝わっていることの意義を考えていく。できるだけ多く聖書の文章を読み、時代背景の説明では考古学の成果なども紹介する。異文化との接触の先にあるものを意識しながら進めていきたい。旧約聖書と新約聖書を相互に関連づけ、その関係の重要性に注目する。
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について指定された書籍や、配布する文書をあらかじめ読んでおくことが望まれる。あらかじめ公開してある関連講義のスライド動画の視聴・閲覧も予習、復習の材料として活用する。また、こちらからキーワードのようなものを毎週、提案するので、それについて短い文章を比較的短い時間(例えば20分)で、特別調べたりすることなく書き出してみることをお勧めする(提出は求めない)。その蓄積が講義への関心、理解の増進につながり、最終的な到達点を高めるためのひとつの方法となる。 合計60時間
自習に関する一般的な指示事項参考文献に挙げた書籍を学期中に通読すること、 講義で触れた聖書箇所の前後などを読んだり、公開してある講義録などを閲覧し、次回に向けて関心を広げていくことが望まれる。また、上の欄の「キーワード」を用いた予習、復習の実施も推奨される。

第1回
聖書とはなにか
履修に関する説明の後、聖書の時代背景、地理など基本的なことを概観する。
第2回福音書とは何か
新約聖書で最も知られている四つの福音書について。
第3回
聖書のはじまり ~天地創造~
天地創造の物語を読みながら、その構造について考察する。
第4回
人間は二度つくられる? ~アダムとエバ~
よく知られているアダムとエバの物語を解読しつつ、そこに含まれているテーマの影響について考える。 
第5回
横暴な神と神義論 ~ノアの箱舟~
ノアの箱舟、洪水物語について、古代メソポタミアの神話との比較などから、その歴史的な意味を展望していく。

第6回
アブラハムと選民思想
ユダヤ人の先祖、アブラハムの聖書における位置づけについて、ソドムとゴモラの物語やイサクを献げる物語を通じて考え、ユダヤ人の選民思想についての認識を深める。
第7回
過越祭とイエスの受難物語 ~出エジプト(1)~
イエスキリストの受難物語を出エジプトの物語との関係から考えていく。
第8回
十戒と民族の始まり ~出エジプト(2)~ /「約束の地」へ
出エジプトの後、シナイ山で十戒を与えられた人々が約束の地へと向かう過程について。
第9回
預言と歴史 ~歴史を通して語られること~聖書の中に書かれている歴史をどのように理解すべきなのか。また、預言とは何か。
第10回
聖書はいつ成立したのか ~正典論の歴史的意義~聖書の成立過程について概観し、正典が定められるまでのさまざまな経緯を辿っていく。また、日本語訳聖書など、現代語における翻訳の経緯などについても触れる。
第11回
慈しみのはじまり? ~バビロン捕囚の宗教史的意味~聖書思想の中心に位置するとも考えられるバビロン捕囚という出来事がもつ宗教的意味を中心に、その後のユダヤ教、ユダヤ人の歴史の流れを展望し、いかにキリスト教思想と繋がっていくのかを考察していく。
第12回
新約と旧約のあいだ ~ペルシャ時代とヘレニズム時代~バビロン捕囚からイエスの時代までの間に、聖書を取り巻く環境は激変していった。その歴史を辿りつつ、黙示思想など、キリスト教思想を決定づける文学活動などについて展望する。
第13回
イエスの時代と終末思想 ~福音書はなぜ記されなけれは?ならなかったのか~福音書が書かれた意味と、イエスの活動がキリスト教へと発展していく時代の背景を探る。
第14回
キリスト教信仰と聖書キリスト教信仰がヨーロッパに普及していくなかで、聖書はどのような位置づけをされるようになっていったのか。正典の成立過程について再び取り上げながら、考えていく。

授業の運営方法
講義形式で行います。
質問、コメントについては、リアクションペーパーとして、各回についてポータルを用いて提出してください(用紙の配布はしません)。特別な質問がある場合は「Q&A」も利用してください。
以前、リモート講義で用いたスライド動画が公開されており、内容は近いので、それを予習、復習として閲覧することもできます。

学期中に2回、講義の内容についての理解度を確認する課題を出します。短い記述を求めるものと、穴埋め式の問題が混在したものになる予定です。この課題は短時間での提出を前提とするテスト形式とし、ポータルのテスト機能を用いて行います。

期末テスト期間中にテストは行いません。
また、学期の前半に中間レポート課題を出します。
課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法リアクションペーパーなどについては随時、必要な場合にコメントをつける。重要と思われる疑問点については、ポータルの機能などを通じて、全体にその議論を共有する。「Q&A」における質問についても同様。
評価の種類 割合(%) 評価方法・評価基準
その他 60% 学期内に2度行う理解確認課題。
小論文・レポート 30% 中間レポート
授業参加 10% リアクションペーパーによる参加度の評価
テキスト 『聖書 聖書協会共同訳」(日本聖書協会)。特に購入する必要はありませんが、新規に購入する場合は「旧約聖書続編つき」をお勧めします。『聖書 新共同訳』などの訳でも可。

参考文献 黒田裕『今さら聞けない!?キリスト教 聖書・聖書朗読・説教編』(教文館)、長谷川修一『聖書考古学』(中公新書)、山我哲雄『一神教の起源』(筑摩書房)その他、講義において紹介。
その他、履修生への注意事項 毎回リアクションペーパーの提出を求めます。 出席はポータルの機能を使って取りますが、出席率(受講率)による加点、減点は一切ありません。 期末テスト期間中にテストは行いません。
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 カリキュラムマップ【全学共通科目】