科目名 | 教育社会学 | |
担当者 | 牧野 修也 | |
開講期 | 2024年度春学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 1年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 現代日本の教育現象の社会学的検討 | |
授業の達成目標 | 本講義では,教育現象を社会学的に検討し、社会的行為としての教育の意味と機能を社会学的に考察し、考察の成果を,自分自身の言葉で記述できることを達成目標とする。 教育という行為そのものは,ほとんどの人びとは体験していることが多い。しかし、それがゆえに、教育について語るとき、ややもすると「自分自身の体験」を大前提に考えてしまう傾向にある。だが、考えてみると、同じ時代に生きていたとしても、生まれ育った場所や年齢が異なれば、それぞれの体験が異なっていても不思議ではない。むしろ、当たり前のこととも言える。しかし、それにも関わらず、自分と同じであることを,他者に求めてしまうことも少なくない。 このような傾向が、,現代の教育をめぐる現象についての議論を複雑化させていっているとも考えられる。そのような状況の理解と今後の方向性を見いだすために、歴史や地域性や階層といった社会学の概念を手がかりに,教育現象について考えていきたい。そして、絶対的に正しい=「こうあるべき」「こうではなくてならない」というモラル的なものというものがあるわけではないことを確認して欲しい。したがって、教育学や心理学からのアプローチとは異なる視点や解釈があることを理解して欲しい。 具体的には以下のことになる。 1.教育が社会的な営みであることを説明できる。 2.教育学と教育社会学が指摘する内容の違いを説明できる。 3.家族や地域社会が教育に果たす役割を説明できる。 4.社会的不平等の現況とそれに対する教育が果たしうる役割を、社会学的に説明できる。 |
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今年度の授業内容 | 教育現象を社会学的に検討することが,この科目の目標である。 教育現象とは教育問題とイコールではないことに留意して欲しい。教育問題という表現には、イジメや不登校や非行といった世間的には「良くないこと」という意味が含まれている。しかし、教育とは、このような問題とされていない部分も,当然にしてある。それらを含めての教育現象である。 これを踏まえて、“つながり”としての社会のありようと今後の方向性を,歴史的プロセスや地域性や家族や社会階層や性差といった観点から論じ、考えていきたい。また、教育という言葉からは,子どもというイメージが強くなるが,そうではなく、教育という行為が生涯にわたるものであることも確認していきたい。 また、教員が一方向的に話すスタイルではなく、教員と学生、学生相互の討議も試みていきたい。 なお、講義の進行上、講義の順序の変更や内容を付け加えることもある。 |
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準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | テキストおよび事前に配付される資料を読み、キーワードとなることを調べ、まとめること 事前にアップされる参考資料や画像資料がある場合は、目を通し、要点と考えるところを文字化してまとめておくこと。(60分) |
合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | 講義中に挙げる参考文献を可能な限り読むこと。 また、教育に関する新聞記事やテレビ番組や映画などを視聴し、何が問題にされているのかをノートやファイルにすることで整理して欲しい。 講義時間外にも,教育に関係する報道に関心を持ち、自分自身で読んだり、視聴することを行い、論理的な思考と記述ができるようにして欲しい。そして、そこから、自分自身の論点を作り出せるようにして欲しい。 |
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第1回 | 社会的行為としての教育 教育という行為の意味 |
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第2回 | 教育空間としての教育制度と学校 | |
第3回 | 学校で教える/教えられること:「ゆとり教育」は本当にゆとりであったのか? 学校知と生活知 |
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第4回 | 教育する側と教育される側の関係性 教育が持つ権力性 |
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第5回 | 試験と学歴 | |
第6回 | 越境する生き方と学校 越境する生き方と教育 |
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第7回 | 家族と教育 | |
第8回 | 教育する家族と教育戦略の転換 | |
第9回 | 地域社会と教育の原型 | |
第10回 | 地域社会の変化と教育 | |
第11回 | 職業構造と教育 | |
第12回 | ジェンダーと教育 | |
第13回 | 豊かさ/貧しさと教育 社会的不平等 |
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第14回 | 「子ども」とは誰か? 子どもという陥穽 |
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授業の運営方法 | テキストの内容を前提としながら、資料やプリントと板書を中心に論じていく。 必要に応じて映像資料を用いる。 それとともに、受講生からの発言や記述も手がかりにしながら,双方向的に考えていきたい。 |
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課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 全体に資するものについては、匿名の形で講義でコメントする。 全体の傾向についてはペーパーで提示する。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 50% | 筆記論述式試験。 |
小論文・レポート | 22% | レポート(1~2回) |
授業参加 | 28% | 毎回のコメントシート【各回3点】 |
テキスト | 相澤真一・伊佐夏実・内田良・徳永智子2023『これからの教育社会学』有斐閣 |
参考文献 | 久富善之・長谷川裕編2008『教育社会学』学文社 片山悠樹・内田良・古田和久・牧野智和編2017『半径5メートルからの教育社会学』大月書店 飯田・岡本2018『教育社会学』ミネルヴァ書房 松岡亮二2019『教育格差』ちくま新書 中村高康・松岡亮二編著2021『現場で使える教育社会学』ミネルヴァ書房 教科書としては指定しないが、現代日本の教育問題を考える上では、教科書と同じ程度の重要性を持つので、予習やレポート作成においては,図書館等で参考にして欲しい。 教科書と上記の参考文献の中にある参考文献もまた参考文献です。 その他については、講義中に適宜提示する |
関連ページ | {日本社会学会HP「社会学へのお誘い」, https://jss-sociology.org/school/ } |
その他、履修生への注意事項 | 自分自身の意見を作るためには、講義外での学習も重要であるから、シラバスにある参考文献や講義中に挙げた文献を読む、教育に関する新聞記事や雑誌記事をファイルし、自分のコメントを記述していくことが望ましい。 文章を読み、記述するという作業が多くなるので、その点には留意してください。可能な限り、自分の周囲ではない人間関係や社会の状況に関心を持ち、記録をするようにしてください。 【遠隔講義実施の場合】 1.出欠は、提出期限を指定したコメントシートで行う 2.試験に付いてはレポートで行う |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【全学共通科目】 |