科目名 | 生涯学習概論 | |
担当者 | 牧野 修也 | |
開講期 | 2024年度秋学期 | |
科目区分 | 週間授業 | |
履修開始年次 | 1年 | |
単位数 | 2単位 | |
授業の方法 | 講義 | |
授業題目 | 生涯学習の意義・現状・課題ー理念・政策・実践の現場の3つの視点から- | |
授業の達成目標 | 生涯学習の視点から「学ぶこと」の意味をとらえなおし、社会教育の新たな意義を見出すことができるようにします。 かつて博物館や図書館などにおける教育・学習活動は「社会教育」という考え方の枠組みの中でとらえられていました。「社会教育」とは正規の学校教育以外の組織的な教育活動すべてをさす概念であったため、学校教育中心の教育システムの中で、学校教育の残余概念的な性格を伴っていたのも事実です。しかし、最近では、「社会教育」に代わって、「生涯学習」、「生涯教育」という概念が多用され、学校教育をも含んだ一生涯にわたる教育・学習を問いなおし、捉え直そうという動きが盛んになっています。急激な社会変化のなかで、年限と対象が限定され、体系化されたカリキュラムに規定された学校教育の限界が指摘され、生涯教育・学習の観点から、社会教育=学校外教育の意味が問いなおされ、その重要性はますます大きいものなっているのです。 また、生涯学習と社会教育の実践の『場』は、従来の教育や学習とは異なる視点も要請されていく状況も生じてきています。それらは「コミュニティ』という言葉でも示される側面も大きいです。もちろん、新しい展開である以上、新しい思考を教育や学習の『場』に導入する意味を持ちます。 こうした社会教育をめぐる状況の変化を前提として、生涯教育・生涯学習の視点から一生涯にわたって「学ぶこと」「教育すること」の意味を考え、さらには生涯学習をめぐる現状とその可能性を理解できるような方向で授業を進めます。 以上の観点から、本科目では、次の点を達成目標とします。 1.社会教育の現代的意味を理解する。 2.生涯学習の現代的意味を理解する。 3.個人のライフコースの変化と教育の関係を説明することができる。 4.社会教育施設の地域社会における意味を説明することができる。 5.現代社会における社会教育と生涯学習の重要性を説明することができる。 6.市民活動と社会教育や生涯学習の関係のあり方を提案できる。 7.学習を「コミュニティ」の視点から考察することができる。 |
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今年度の授業内容 | はじめに、学校教育や社会の変化などと関連させながら生涯学習という考え方が出現した歴史的経緯、社会的背景を紹介し、生涯学習の現代的意義を確認します。その後、社会教育を中心に、関連法規、指導者、専門職員、施設・団体などに関してその現状を紹介し、さらに女性、青少年、高齢者など学習主体別に生涯学習の現状と課題について扱う予定です。それに加え、ある社会教育の学習運動の記録を、歴史的に捉え直していくことを通じて、社会教育と生涯学習について、架橋していきたい。これらの中に、「コミュニティ」という視点をいかに組み込むことが可能かと言うことを常に考察していきたい。最後に、そうした現状をふまえたうえで、生涯学習の有用性と社会的機能をめぐる議論を紹介します。 | |
準備学修予習・復習等の具体的な内容及びそれに必要な時間について | 事前に配布する資料を読み、キーとなる言葉を調べ、まとめる。(60分) | 合計60時間 |
自習に関する一般的な指示事項 | レポート作成、試験課題への準備など授業時間外の学習が必要です。また、可能な限り、自分の生活圏域にある社会教育や生涯教育の現場を訪ねて欲しい。また、それらの施設のHPや発行物に注意し、自分自身で記録を取るようにすること。 また、社会教育や生涯学習に関連するテレビ番組や映画などを視聴しノートを取るようにすること。 |
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第1回 | 生涯学習の意義と性格 | |
第2回 | 学ぶことの意味の意味を考える | |
第3回 | 学習をめぐる歴史的背景 | |
第4回 | 生涯学習と社会教育の法的関係 | |
第5回 | 社会変動と生涯学習 | |
第6回 | 生涯学習と学校教育 | |
第7回 | 社会教育および生涯学習と行政組織 | |
第8回 | 社会教育施設としての博物館 | |
第9回 | 社会教育施設としての図書館 | |
第10回 | 地域社会における社会教育 | |
第11回 | 生涯学習という視点から見た女性教育 | |
第12回 | 生涯学習という視点から見た高齢者教育 | |
第13回 | 生涯学習という視点から見た青少年教育 | |
第14回 | グローバリゼーションと社会教育 | |
授業の運営方法 | テキストとは別に、必要に応じて、プリント・資料を配布します。 基本的に、担当者の講義を中心とするが、必要に応じて視聴覚教材を用いる。 コメントシート等を通じて、受講者との意見交換や討議を行っていきたい。 |
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課題試験やレポート等に対するフィードバックの方法 | 全体に資する内容については、匿名の形で講義のなかで応答する。 全体の傾向についてはペーパーの形で提示する。 |
評価の種類 | 割合(%) | 評価方法・評価基準 |
定期試験 | 50% | 記述式の定期試験(レポートに変わる可能性もあります) |
小論文・レポート | 22% | 小レポート |
授業参加 | 28% | 毎回のコメントペーパー |
テキスト | 祐成保志・武田俊輔編2023『コミュニティの社会学』有斐閣 テキストのタイトルは「社会学」が付いているが、講義のテーマの一つであるコミュニティを理論的かつ実践現場を踏まえて記述されているので、精読して欲しい。 各回ごとにポータルを通じて資料を配布する。 また、必要に応じて、インターネットにて無料で見ることができる映像資料のアドレスを提示する。提示された映像資料は必ず見ること。 |
参考文献 | 久田邦明2010『生涯学習論−大人のための教育入門』現代書館 玉井康之・夏秋英房2018『地域コミュニティと教育—地域づくりと学校づくり』放送大学教育振興会 |
その他、履修生への注意事項 | 講義の場だけではなく、美術館や図書館といった社会教育施設に、できる限り足を運ぶこと。また、自分が生活する自治体の社会教育事業に関心を持つこと。 資料等を丸写ししただけのものやデータ、資料の裏付けなしに自身の印象や感想や提案を記したものの評価は高くないので十二分に注意すること。つまり、調べたことを踏まえて、アカデミックライティングの作法に従って、分析的に記述することが重要です。 出席は点数に換算されません。 【遠隔講義実施の場合】 1.出欠については、提出期限を定めたコメントシートの提出で行います。 2.試験についてはレポートにて行います。 |
卒業認定・学位授与の方針と当該授業科目の関連 | カリキュラムマップ【全学共通科目】 |