| 辨 |
日本のヌルデは、var. roxburghii(濱鹽膚木・鹽霜柏)。
基本種はタイワンフルデ(タイワンフシノキ) var. javanica(鹽膚木)。琉球・中国(新疆・靑海以外の全国)・臺灣・インドシナ・スマトラ・ヒマラヤに分布。 |
| ウルシ属 Rhus(漆樹屬)については、ウルシを見よ。 |
| 訓 |
和名ヌルデは、樹に膠漆があり、ものを塗り得ることから。
別名カツノキは、むかし聖徳太子と蘇我馬子が物部守屋を滅ぼすに当り、太子がヌルデの材を以て四天王像を彫って勝利を祈った(587,四天王寺の創建)とされることから、という(出典失記)。
オッカドは、材でオッカド(御門)棒を作り、小正月に門に立てたことから。 |
| 小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)28塩麩子に、「フシノキノミ フシノキ以下木ノ名 ヌルデ ヌデ濃州 ヌリダ備前 ユリデ佐州 ノデノキ尾張上総 カツキ カツギ カツノキ奥州 カチノキ 将軍木 サイハイノキ アカベソ城州醍醐 ゴマギ津軽 ヲツカドノキ信州 ヤマハゼ土州 メウルシ江戸」と。 |
| 説 |
日本(北海道・本州・四国・九州・沖縄)・朝鮮・中国(兩廣・福建・雲南)・臺灣・インドシナ北部・ヒマラヤに分布。 |
| ヌルデを初め、同属のいくつかの種は、葉・葉柄にヌルデシロアブラムシ(ヌルデノフシムシ)などの幼虫が寄生すると、その部分に虫こぶ(蟲癭・虫瘤)を作り、多量のタンニンを含む。中国ではこれを五倍子(ゴバイシ,wubeizi)と呼び、日本では五倍子(ふし)・附子(ふし)と呼ぶ。 |
| 誌 |
中国では、R. javanica(R. chinensis;鹽膚木)の根・葉を 薬用にする。ヌルデも同様に用いる。 |
中国では、R. javanica(R. chinensis;鹽膚木)・R. potaninii (靑麩楊)・R. punjabensis var.
sinica (紅麩楊)などが作る五倍子を、薬用にする。『中薬志Ⅲ』pp.613-618
日本では、ヌルデが作る五倍子を、染料・薬用にする。昔はお歯黒の媒染材として用いた。 |
材は軽く軟らかいので、各種の細工物に用い、関東では正月の祝い箸や削り花を作る。かつては采配の柄を作るのに用い、勝軍木と呼んだ。
乾燥した材は、燃すと激しく爆ぜるので、護摩に用いる。 |
『万葉集』に、
あしがり(足柄)のわをかけやまの(不詳)かづの木の
わ(吾)をかづさねもかづ(穀)さ(割)かずとも (14/3432,読人知らず)
とあるのは、ヌルデ(一説にカジノキ)。 |
| 『花壇地錦抄』(1695)巻三「山椒(さんせう)るひ」に、「雌漆(めうるし) 葉うるしのごとく、秋 紅葉する事、花にかへたり。実ハ女中歯黒ニ合ル、ふしと云物也。一名■{備の人偏に木偏を代入}木(ぬるで)共云。かつの木共云」と。 |