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りくほう 六法 Liufa
絵画の鑑賞・制作に関わる6つの規範。
斉(479-502)の画家・謝赫が、その著『古画品録』の序文の中で、「画」の品等の基準として「六法」を提唱したことに始まる。
これは直ちに絵画鑑賞の規範となり、次いで画家の絵画制作に関わる規範とも化した。
すなわち、以下の6を言う。
一、気韻生動
二、骨法用筆
三、応物象形
四、随類賦彩
五、経営位置
六、伝模移写
なお、その読み方に二説ある。一は、「気韻生動」「骨法用筆」のように4字1句で読むもの、二は、「気韻、すなわち生動」「骨法、すなわち用筆」のように2字2句で読むもの。ただし二つの読み方によってその意味内容が大きく異なるわけではない。
「六法」の一々の意味は、略略
一「気韻生動」は、画かれた対象が生き生きとして見えること。
二「骨法用筆」は、筆線の描写力。
三「応物象形」は、対象の再現のうち形体描写の側面、すなわちデッサン。
(唐代以降は「形似」とも呼ばれた)
四「随類賦彩」は、対象の再現のうち色彩描写の側面。
五「経営位置」は、画面構成、構図。
六「伝模移写」は、古画の模写。
こうしてみると、再現芸術としての絵画に関わるさまざまな価値のうち、中国に固有のものは「骨法用筆」のみとなろう。
「六法」論は、そののち
張彦遠『歴代名画記』(847、「画の六法を論ず」)、
郭若虚『図画見聞誌』(1074、「気韻は師よりするに非ざるを論ず」)、
董其昌(1555-1636)『画禅室随筆』等
に継承され、論じ続けられた。
謝赫の時代には絵画といえば人物画が主流であったから、「気韻生動」とは画かれた対象、すなわち画中の人物が生き生きとして見えることを意味した。しかし後には、「気韻」は画く主体である画家自身の精神的営為を意味するものとなり、引いては「気韻生動」とは画家の人格がいかに画面に表出されているか、を意味するように変化した。
この変革は、第一段階として盛唐(710-765)時代の画家・呉道子の制作方法に由来し、第二段階として北宋の評論家・蘇軾(1036-1101)の「士人の画」観よって決定的なものとなった。
このような「気韻」観の変化は、「六法」が人物画だけではなく花鳥画や山水画にも適用される余地を与えた。すなわち、これより「六法」は絵画のあらゆるジャンルにおいて論じられていくこととなった。
しかし、このような「気韻」観の変化は、絵画そのものの価値観にも重大な影響を及ぼした。絵画の最終的な制作目標である「気韻生動」が、画家の人格の表れでしかないとされるならば、旧中国においてはそのような基礎資格を持つ者はごく一部の富裕な階級の出身者に限られてしまう結果をもたらす。
その直接の反映は、何良俊(1506-1573)の行利家論を経て、董其昌の文人画論に帰結した。
爾来今日に至るまで、気韻論・骨法論を中心として、「六法」は中国の画家・評論家の間でかまびすしく議論されている。
【参考】中村茂夫『中国画論の展開 晋唐宋元篇』(京都、1965)
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~bunrius/indexj.html
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